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いつものようにギルド食堂で食事をする。いつものワンプレートと、フラットはステーキ十五枚だ。嬉しくなって、ガツガツ食べたよ。
今日はちょっと疲れたな。
クリーンで綺麗にして、パジャマに着替えた。
そうだ、ちょっとステータスを見るかな。
■ナギ・ワシュウ
≪ステータス≫
年齢:六歳
性別:男
身長:百十七センチ 体重二十九キロ 白銀髪ロングヘア(生まれてから切ってない)
種族:人間
レベル:10(*10)
生命力:1200(*10)
魔力:1700(*10)
攻撃力:600(*10)
防御力:600(*10)
≪スキル≫
生活魔法
四大属性魔法
解体
≪EXスキル≫
複合魔法
氷魔法
無属性魔法
治療・回復魔法
身体強化
身体強化・攻撃力上昇
防御強化・防御力上昇
魔力・体力回復上昇
剛力・俊足
遠見
鑑定(真偽判定可能)隠ぺい
探索
≪ユニークスキル≫
[空間魔法型アイテムボックス] 隠ぺい
[クリエイト] 隠ぺい
[自動地図オートマップ] 隠ぺい
(広域の地図と現在地、索敵済み範囲の敵と味方の表示ができる。詳細な地理情報の表示も可能)
[探知レーダーサーチ] 隠ぺい
すべてのマップで索敵対象の弱点と詳細情報の表示ができる
状態異常無効
[毒耐性]隠ぺい
==========
[シルバーウルフ王の加護]
眷属:シルバーウルフ:フラット
[創造神の加護]隠ぺい
[幸運]隠ぺい
===今後開花する予定一部表示(隠ぺい)===
獣魔師スキル
空間魔法
錬金魔法
創造魔法
虚数空間(EXスキル)
精錬精製
錬成 他多数
数字が変わってる!
身長も少しだけ伸びてるね。体重は一キロ増か。
レベルが上がって、それぞれの数値が上がったみたい。
嬉しいな。少しだけ成長したみたい。
さて、今朝も依頼に出発だ!
フラットは街の中はゆっくりと歩く。
そして人家がなくなったら、ゴウと音がするほど駆け始める。いつも思うけど、本当にすごい速さだ。
普通なら二日はかかる村らしいけど、これなら今日着いちゃうでしょ。うん、間違いなく昼過ぎには着いちゃうよ。
かなりの速さで駆けた。
そろそろフラットを休ませてやりたいな。
「フラット。その先の広場で休もう」
『うん!』
すぐに開けた場所が見える。
ゆっくりとまったフラットの背からおりてシートを広げて腰を下ろせば、フラットはきちんとお座りする。
ボウルに入った水をゴクゴク喉を鳴らして飲んでいる。喉渇くよね、あんなに速く移動したから。
軽食は、大きなボウルに入れてフラットの前に置く。すぐにかじりついたよ。ホットドッグ五本とサンドイッチ五個を分けたんだけど、足りるかな。
軽食を食べて水をのみ、を繰り返したフラットは、少しは足しになったみたいだけど、足りないよね。
アイテムボックスからステーキの焼いたのを取り出してやれば、ペロリと五枚食べちゃった。
「二人とも軽食じゃダメだね。もっと力が出てお腹に溜まるものがよさそう。何か考えるかな」
うんうんとフラットは頷いている。俺ならおにぎりで十分だけど、それだけじゃダメだよね。ガッツリ系って何がある? 粉物かな。お好み焼きとか? そう言えばこの世界に来てから食べたことないな。家ができたら作ってみようかな。小麦粉も卵もあるし、キャベツみたいな野菜もある。それに肉は当然あるし。じゃあ、お好み焼きに挑戦だ!
再び駆け始めたフラットは、俺の予想通り昼を過ぎた頃に村に到着した。
「私はナギといいます。オーク討伐の依頼をギルドに出したのはこの村で間違いないですか?」
「あ! はい。間違いありません。どうぞこちらへ」
招き入れてくれた青年は、村長ー--! と駆けていった。
ゆっくりと歩くフラットから降りた俺は、村人の後に付いてゆく。
「あ、あなたがオーク討伐を? あの、その大きなシルバーウルフは魔物……」
「確かにシルバーウルフですが、僕の眷属ですから、人に危害を加えることはありません。この子も戦いますので」
なるほど、とは言ってるけど不安そうだね。
まあ、魔物ではあるけど、俺が乗っかってる時点で大丈夫でしょうよ。
オークが出てきた畑周りを見せてもらう。ここで作業中に襲われた?
足音は聞こえなかったと聞いて驚いた。オークはかなりの巨体なので無音と言うことはないと思うんだけど……
畑はだだっ広くて目に見えないわけない。なぜ気づかなかった?
一人犠牲になったみたいだけど。
後も追って来ないなんておかしいでしょ? まあ、確かに離れてはいるけど、普通逃げた方向に向かうんじゃない?
「おかしいですね。その後はしばらく音沙汰なくて人が畑に出たら音もなく近寄って襲う。奇妙な話しです」
どう考えてもおかしい。村長も首をかしげている。
このあたりを調べようかと村長たちには戻ってもらった。
あたりの気配を探る。
畑の向こう側も距離を取って索敵する。
確かにオークはいる。
でも、動いてない? なにやってるんだろう、何かをしてるような感じだね。あいつらが協力して何かをするなんて聞いたことない。おかしな事だね。キングでもいるのかな。誰かに指示されてるみたいに感じるのは俺だけかな。
『ナギ、おかしいね。オークって作業員みたいに揃って何かする? そんな頭はないよね』
うん、おかしいよね。フラットも感じている違和感は俺の感覚と同じだ。
操られている?
良くない気配がするな。畑の中でだけ襲われるって信じられないよ。
村の中まで入ってくることはないって……普通なら一人襲った後、村に乗り込んでくるはず。なんか嫌な依頼受けちゃったかなぁ。
少し森に入る? うん、入ろうか。
二人で一緒に森に入る。バラバラにならない方がいい気がしたから。
ゆっくりと奥へと進んでいるけど、まだ動いてない。
何やってる? やっぱり何かをしてる気がする。
そんな風に神経を張り詰めて進んでいた……はずだった。
瞬間、目の前にオークが現れた。それも七頭!
おいおい、音もなく現れたぞ、こいつら。
「それぞれで対応しよう。おかしいやつらだから気をつけて!」
了解、と聞こえてオークと向き合う。
俺の前に立っているのはそこそこの大きさだけど、無表情。
普通なら不細工な雄叫びを上げながら突進してくるはずなのにね。一応、手には棍棒を持ってる。だらりと下がってるけど。
これ、一気に行ってみるかな。
近くではぶもぉ~と声が聞こえてドタバタと戦う音が聞こえる。おお、フラットが魔法も使ってるみたいだ。
こっちが仕掛ければ反応するんだなぁ。
じゃあ!
正面から駆けよって、ショートソードで太ももを切りつける。
ぶもぉぉぉぉぉぉぉぉ~
おお、ちゃんと鳴いたし反応したね。これでこそオークだ。
離れた俺に向かってドドンと棍棒を振り下ろしてきたけど、その腕に飛び乗り一気に肩まで駆け上がる。そして首を深く切り裂いた。
ぶぉ?
思ってもいなかった、とでも言うように短い声が聞こえた。その後は、ゆっくりと倒れていった。
うん、大丈夫だ。
これくらいのサイズならいけるな。小さな身体が案外便利に対応出来るんだよね。
アイテムボックスに入れた後、顔を上げると少し向こうにオークの姿。
やっぱり足音は聞こえなかった。
ここからだと近づくのは愚策でしょうよ。
<水刃>
シュシュッと音が聞こえて水の刃は飛んでいって、片方の腕を切り落とした。
首を狙ったのに、防がれちゃったみたい。じゃあ反対も同じように水刃で切断だ!
腕のないオーク……肩に駆け上がる足場がなくなったよ。俺、間抜けだね。
なら仕方がない、氷の矢だよね。
<氷の矢>
指拳銃で心臓を狙ってバン! と射った。
ブシュッと飛んでいった矢は立ち尽くすオークの胸を貫いた。
うん、これが一番楽!
フラットは? と見てみれば俺よりもスムーズにたおしちゃってるみたい。
最後の一頭は、爪で首をはねた。
これで終わりかな。
そんなことないはず。だって、奥にはまだオークがいる。結構たくさんいる気がするけど、なんで出てこないのかな。
首を捻って見ていたんだけど、フラットからどうするかと念話が来た。
『あとどれくらいいるのかな? 大体の数わかる?』
『あと十五前後かな』
『じゃあ、もう少しだから行っちゃおうよ』
了解、と聞こえたので合流するために駆け出した。
もう少しで合流だ。
フッ!
浮遊感に襲われる。
あれ?
身体が浮遊感を感じた時には、真っ暗な中へと吸い込まれていた。
『ナギ! どうしたの!』
わぁぁぁぁーーーーーー
見えない場所に落ちてるときって、やっぱりこんな声が出ちゃうんだな。
両手を伸ばして何かつかめないかとあがいてみる。でも、何もないほどの広さなのかな。
『ナギ、どうしたの!』
『わかんない、大きな穴みたいなのに落ちてる気がする。そっちも気をつけて、オークが迫ってるよ!』
それだけ言って、下へと意識を伸ばす。
どれくらい落ちたかな。このままだと身体が地面と衝突しそうな気がする。
ヤバいな、と身体に大きな空気の層を纏ってみた。
<空気の玉>
大きなボールの中に入ったのと同じ。でも、これがどれくらいの効果を発揮してくれるかはわからないけど。
ライトを発動してもどれほども見えない。それなら、こっちだね。
<火の玉>
指拳銃で地面に向かって放ってみた。
一秒から二秒くらいして地面に火が散らばった。
どうやら底は近い。それにでこぼこもなさそうだし、よくある尖った木とかもなかった。
おかしな話しだね。
ぼよ~んと空気の玉は数回跳ねて止まった。
こんな魔法はないんだろうけど、指拳銃を作ったときにある程度自由になるだろうと感じてたからやってみた。
やっぱりそうみたい。確信できた。
これなら自力で上がれる気がする。
じゃあ、中を確認しようかな。おっとその前に無事だと伝えよう。
『フラット。無事に地面に降りたよ。心配しないで! オーク狩りが終わったら教えてね!』
『ナギ、よかった。じゃあ、オークやっつけちゃうね!』
『うん、気をつけてね。真っ暗になりそうなら一度引くんだよ。ここはただの穴みたい。暗いとヤバイからね。いい、絶対だよ!』
わかった、と聞こえて一応安堵した。
さて。
<ライト>
あたりが一気に明るくなる。
見回しても何もない。
この穴は何かな。
地面はとてもなだらかだけど、こんな風に自然にできるものなのかな。まるで機械で掘ったみたいな壁だし。
ちょっと疲れたな、と水を飲んだ。
ゴクゴク飲んだら少し落ち着いた気がする。
ふん、上は任せておけば大丈夫。危なげない戦い方を見て任せた。
今度は俺の番。
もう少し明るくできないかな、とライトを追加してみよう。
<魔力増量ライト>
ポンポンとかなりの明るさのボールが浮かぶ。
おお、かなり明るいね。
壁を確認しようと歩いて見るけど、土の壁がそそり立ってるだけ。ぐるっと回って確認したけど、一カ所を除いて問題なかった。
一カ所だけ気になる場所がある。
拳で小さく壁を叩きながら歩いたとき、少し音が違う箇所があった。
壁が薄いんだろうか、と何度か叩いてみたけど、六歳の俺の拳では無理。穴を開ければいいかな、と土魔法のことを思い出した。
どう使ったらいいんだろう。
日本にいたときは、穴を開けるならドリル? という認識だったけど。土壁に穴を開けるんだから同じかな。
とりあえず、やってみようか。
直径二十センチほどの穴を開けたい。
<ドリル>
ガガガーと音が聞こえて、壁が丸く切り抜かれた。
あれ? なにも出てこないけど、空洞なのかな?
ライトを近づけてみれば、どうやら空洞みたい。
うーん、でもなんか出てきたら困るな。直径十五メートルくらいの穴の底ででっかい魔物とか、勘弁だよ。
パラッと何かがこぼれる音がした。
なんの音?
あけた小さな穴に、太い指が三本現れる。
え? もしかして、何かいた?
うぉぉぉぉぉぉぉーーーーー
地面が揺れるよ。これ何かの遠吠えかな。
バリ! と音がして、壁の穴が崩れちゃった。
薄いと感じていた壁はボロボロと崩れてゆく。そう、壊されはじめたんだ。
なんだよ、これー!
俺、一人なんだけどぉ~
簡単に崩れ去った土壁だけど、通路とも思える入り口の形だ。
高さは五メートルくらいあるよ。
ドシン、ドシンと音が聞こえて、嫌な予感満載だ。
そこから姿を現したのは……でっかい魔物。
えっと、なんだっけなこいつ。牛みたいな頭で角もある。えーっとえーっと……
思い出した! ミノタウロスだ!
それで、俺にどうしろと? っていうか、なんでここにミノタウロスがいるのさ。地下にすんでる魔物じゃないでしょ。もしかして、迷宮があったりする? でも他には出てこないな。
これ、人為的なものだったりするのかな。
どちらにしても、今、俺はとてもヤバイ。
こんなデカブツ、どうやって倒すんだよぉ~
待て待て。落ち着くんだ、俺。
ミノタウロスは俺の存在に気づいてない。まあ、そうでしょうね。ちっこいから。
でも隠れる場所もないよ。