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コメント
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いやあ、今回も重くて、でもすごく好きな回でした…!公太の「仲間を助けたい」一心の暴走、痛いほどわかるだけに、原田のビンタと牧田の過去話がめちゃくちゃ刺さりました。「耐えることも強さ」って台詞、設定好きとしては軍隊ものの鉄板だけど、それでも毎回響くんですよね。公太のなかで何かが変わり始めた予感、続きが気になります。
アスガルトでの訓練も終盤に差し掛かっていた。
この日行われていたのは、実戦形式の模擬戦。
囮、支援、攻撃――それぞれが役割を担い、連携しながら戦況を動かしていく訓練だった。
公太は攻撃役として配置されていた。
戦闘開始から数分後。
前線で囮役を務める隊員たちが、徐々に押され始める。
「チッ……想定より敵の動きが速い!」
隊員の焦った声が響く。
一人、また一人と追い込まれていく仲間たち。
その光景を見た瞬間、公太の胸がざわついた。
(やべぇ……このままじゃ……)
仲間たちがやられる。
その思いが頭を支配した。
「……くそっ! こんなの見てられっか!」
公太は持ち場から飛び出そうとする。
すると隊員の一人が叫んだ。
「待て武藤! 今動いたら連携が崩れる!」
「うるせぇ! あいつら全滅しちまうだろ!」
公太は制止を振り切り、敵陣へ向かって突撃した。
仕方なく仲間たちも後を追う。
しかし――
それこそが敵の狙いだった。
次の瞬間。
敵チームが一斉に反撃へ転じる。
陣形は崩壊。
戦場は混乱。
味方同士の連携も消え失せた。
模擬戦は一瞬で乱戦へと変わる。
「――やめろッ!!」
怒号が訓練場に響いた。
訓練は強制終了。
静まり返る空間の中、教官・原田がゆっくり歩み寄る。
そして――
バチンッ!!
鋭い音が響いた。
公太の頬に強烈な平手打ちが叩き込まれる。
「バカヤロウ!!」
原田の声は怒鳴り声ではない。
それ以上に重い怒気を帯びていた。
「貴様の勝手な行動で部隊全体が危険に晒された!」
公太は睨み返す。
「仲間を助けようとしただけだろ!」
「それで全員死んだら意味があるのか!」
原田は一歩踏み込む。
「仲間を守りたいなら、まず仲間を信じろ!」
「……っ!」
「作戦を守ることも戦う者の責任だ!」
公太は拳を震わせた。
悔しい。
納得できない。
だが怒りは収まらない。
「このヤロウ……!」
飛びかかろうとした瞬間、
周囲の隊員たちが慌てて押さえ込む。
「落ち着け武藤!」
「今のお前はただのガキだ!」
「離せよッ!!」
暴れ続ける公太。
そのまま訓練場から連れ出されていった。
残された原田は小さく息を吐く。
「……甘すぎるな、あいつは」
その言葉には、
怒りだけではない感情が混じっていた。
だが公太は、それを知る由もなかった。
数時間後。
薄暗い待機室。
公太は椅子に座ったまま俯いていた。
そこへ静かな足音が近づく。
扉が開いた。
現れたのは牧田だった。
「……喧嘩したんだってな」
公太は顔を上げない。
「別に間違ったことはしてねぇよ」
牧田は黙って壁に寄りかかった。
「俺が十九の頃さ」
ぽつりと語り始める。
「君によく似た奴がいた」
公太が顔を上げた。
「……俺に?」
「あぁ。短気で、喧嘩っ早くて、誰より仲間思いだった」
牧田の表情が少しだけ曇る。
「ある戦闘の日だった」
「仲間が崖から落ちそうになったんだ」
「誰も助けられないと思ってた」
「でも、そいつだけは走った」
公太は息を呑む。
「助けたのか?」
牧田は静かに頷く。
「助けたよ」
「腕を掴んで引き上げた」
「だけど――」
そこで言葉が止まる。
部屋に重い沈黙が落ちた。
「雪崩が起きた」
「そいつは巻き込まれて崖下へ落ちた」
「戦いが終わって駆けつけた時には……もう遅かった」
公太は何も言えなかった。
「なんで、その話を俺にするんだ」
牧田は窓の外を見る。
夜の訓練場では、今も隊員たちが汗を流していた。
「命令が全てじゃない」
「だがな――」
牧田は静かに続ける。
「耐えることも強さなんだ」
公太の脳裏に仲間たちの顔が浮かぶ。
唯我。
一祟。
畑中。
そして母。
もし今日、自分の暴走で誰かが巻き込まれていたら――。
そんな考えが胸を締め付けた。
「……俺、間違ってたのか?」
牧田は微かに笑う。
「それを決めるのは君自身だ」
公太はゆっくり顔を上げた。
心の中にあった怒りは消えていない。
だがその奥で、
何かが少しずつ変わり始めていた。
「……ありがとよ」
牧田は何も答えず、
静かに部屋を後にする。
扉が閉まる音だけが響いた。
残された公太は一人、
拳を見つめる。
強さとは何なのか。
守るとは何なのか。
その答えを探すように――。
静かな夜は更けていった。