テラーノベル
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全く季節が違いますが、リリイベの時に書いた下書きが残っていたのですが、なかなか書けずやっと仕上げることが出来ました。
太智は、スマホに映る「夏祭り開催」の文字をぼんやり眺めながら、ベッドに仰向けになっていた。
仁人と一緒に行けたらええんやけどなぁ……
浴衣を着た仁人の姿を想像しただけで、胸の奥がぎゅっとする。
たぶん紺とか白とか、涼しげで、でも優しい色で。
絶対似合うやん……反則やろ
花火が打ち上がって、
「うわ、綺麗」なんて無邪気に笑う仁人。
その横顔を見とるだけで、俺はもう何もいらんのに。
りんご飴を買って、
「一口ちょうだい」って言われたら――
そんなん言われたら断れるわけなくて、 平静装って「あーん」ってするけど、内心はもう必死で。
仁人の色に似とる綿あめも一緒に食べて、 甘すぎて、すぐ溶けて、指ベタベタになって。
こんなんでも楽しいって思えるん、仁人やからやで
射的も 仁人が欲しそうに見とった景品、外すわけない。
「太智、すごい!」
へへ……そらそうよ。仁人にカッコええって思われたいんやもん
そこまで考えて、太智は小さく息を吐いた。
……まぁ、一生叶わん夢なんやけどな
勇斗も、柔太朗も、舜太も知っとる。
俺がどんな気持ちで仁人を見とるか。
でも――当の本人だけが、気づいてへん。
仁人はいつも通り優しくて、無自覚で、
俺の心を簡単に掴んでいく。
3人は撮影で俺と仁人だけが楽屋にいる時、
「太智、ここの近くで夏祭りあるみたいだからさ、この後みんなで行こ?」
そんなことを、何の疑いもなく言うから。
俺は今日も笑って、
「ええやん、行こ行こ」
って返す。
ほんまはな、“みんな”やなくて、“仁人と二人”がええんやけど
言えるわけないやろ。
花火みたいに一瞬で消えてもええから、
せめて夢の中では――
ちょっとくらい、俺の隣おってくれてもええやんか
そう思いながら、太智はまた一つ、
叶わない夏を胸の奥にしまいこんだ。
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