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「食べないのか?毒は入ってないぞ」
不思議そうにしながら英厳はそう言います。
にしても、ついさっき“ドール”と呼ばれるのが嫌だと言っておきながら私の事をそう呼ぶとは、矛盾の塊ではないですか。
…そう言えば、まだ私は名乗っていませんでしたね。
「私は、ドールという名前では有りません。西華です」
「そうか、じゃあ、西華。これを食え。お前とて仮死状態になるのは嫌だろう」
少し戸惑いながらも、英厳は私の名を呼び、そう言いました。
なんだかんだ言って優しい方なのですね。
「ほら、見ての通り毒は無い」
そう言って英厳は、スープを目の前で飲んで見せました。わざわざ目の前で毒味をするなんて、色々と普通では無いですね。
「分かりました」
そう言って私は、差し出されたスープを飲み始めました。
少し、なんだか悔しいですが、美味しかったです。
食べ終わった食器を持って、私の食べている姿を見ていた英厳は部屋を出ていきました。