テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
それから数時間後、今度は夕食を持ったメイドが来ました。
「お初にお目に掛かります。私、今日から西華様のお世話をさせて頂く事に成りました、サラ・エバンスと申します。以後お見知り置きを」
そう言って、サラは見事なまでの例を披露し、私の目の前で毒味をした後、料理を渡して来ました。
「奥様は、どうしていますか?」
私は、食後、鼻唄を歌いながら紅茶を淹れているサラに問い掛けました。
「フランス王国の化身様でしたら、私の同期のアン・テイラーがお付に成りました。彼女は本当に親しみやすいですからね、フランス王国の化身様もゆっくりと過ごせると思いますよ。確か、少し早めの夕食を取ったところ、完食なさったとか。料理長もアンも喜んでいました」
サラは本当に良く話す。聞いてもいない事まで話す。私が敵国の者だという認識をしていないのでしょうか。
「ふふ、私が沢山お話する事に疑問を持っているようですね」
少し目を細め、サラは笑ってみせた。彼女の言っている事は完璧に図星です。
「英厳様が、体調の悪い状態で常に警戒していては疲れてしまうだろうから、彼女の知りたい事は話しても良いぞっておっしゃったんです。言い方は棘々しいですけどね、根は本当に優しい方なんです」
少し遠くを見つめるように、されど少し楽しそうにサラはそう話しました。
「あ、この事は英厳様に言わないで下さいね。軽いお説教を受けてしまいますから」
少し可笑し気に、サラは人差し指を口元に当てて、シーと言いました。
次の日。
英厳が部屋に入って来て話し始めました。