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유리
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「お前……っ、ただの手品バカじゃねぇ……っ!」
そう言って顔を真っ赤にする新一を残し、快斗はひらりと身を翻してソファへ戻った。ひとまず正体の追及は免れたものの、新一の心臓の音は、静まり返った工藤邸の書斎に今にも響きそうなほど高鳴っている。
「ほら、工藤。そんなとこで突っ立ってないで、こっち来いよ」
快斗はスウェットのポケットから、コンビニの袋を取り出した。中から出てきたのは、新一が好きなブランドのバニラアイスだ。
「……お前、本当にそれだけのために来たのかよ」
新一は壁から背中を離し、まだ警戒を解かないまま、快斗から少し離れた一人掛けのソファへと腰を下ろした。手元にある一輪の白い薔薇が、否が応でも昼間のやり取りを思い出させる。
「心配したからに決まってんだろ? お前、キッドのハッキングがどうのって、本気で泣きそうな顔してたしさ」
快斗はアイスの蓋を剥がしながら、スプーンを新一の分まで用意して机に置いた。その仕草は、どこまでも優しく、どこまでも「ただの黒羽快斗」だった。
「……あいつ、本当に悪趣味だよ」
新一は薔薇をそっと机に置き、深くため息をついた。
「俺が、お前にしか言ってねぇことを全部知ってて……『俺が黒羽快斗だったら、今夜迎えに行ってもいい?』なんて、そんなメッセージ送ってきやがって。俺の気持ちを、おもちゃにして楽しんでるんだ。……あいつにとって俺は、ただの暇つぶしの玩具(ターゲット)なんだよ」
新一の声が、少しだけ寂しそうに落ちる。キッドへの恋心を自覚したからこそ、相手が「世界を騙す大泥棒」であるという現実が、新一の胸を苦しく締め付けていた。その瞬間、快斗がアイスを食べる手をピタリと止めた。
(……玩具なわけ、ねぇだろ)
快斗の胸の奥で、切なさと愛おしさが一気にせり上がってくる。泥棒の仮面を被っているせいで、自分の本気の恋心が、新一には「悪趣味なからかい」として受け取られてしまっている。こんなにも目の前で、新一が自分(キッド)のことで傷つき、自分(快斗)を求めているのに。快斗はソファから身を乗り出し、机を挟んで新一の顔を覗き込んだ。
「玩具なんかじゃねぇよ、絶対」
「え……?」
「キッドの奴さ、お前のこと、からかってなんかいないと思うぜ」
快斗の目が、いつになく真剣な光を帯びていた。スウェットの袖を少し捲り上げた腕が、新一の手元へと伸びる。
「お前があんまり可愛いから、あいつも余裕なくして、必死にアプローチしてんじゃね? ほら、大泥棒のプライドが邪魔して、素直になれないだけだよ。……だからさ」
快斗は新一の細い指先を、机の上でそっと、けれど力強く握りしめた。
「そんなにそいつのことで泣きそうな顔すんなよ。……俺じゃ、キッドの代わり、不満か?」
「く、黒羽……っ」
新一の顔が、再びカァッと沸騰するように赤くなる。握られた手のひらから、快斗の熱い体温がダイレクトに伝わってくる。
キッドからの熱烈なメッセージ。そして、目の前にいる親友・黒羽快斗からの、境界線を踏み越えてくるような甘い言葉。二人の男(実際は一人)に挟まれ、新一の自慢の脳細胞は、いよいよ今夜、完全にメルトダウンを起こそうとしていた。
コメント
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ああもう、この回、最高でした……!新一がキッドに弄ばれてる感覚に苦しむ一方で、目の前の快斗が「そんなに泣きそうな顔すんなよ」って手を握るシーン、反則級に甘くて胸がきゅうっとなりました。「俺じゃ代わり不満か?」って、もう代わりじゃなくて本人なのに!っていうやきもきも込みで最高のラブコメですね。続きが気になりすぎます!