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俺には好きな人がいる。入学式の日に声を掛けてくれた、身長が高くてふわふわしてて…..隣に居てくれるだけで安心できる人。


ただ、そいつは俺の事を女子だと思って接している。それに気付いたのは最近の事ではなかった。


br 「初めまして、隣の席だよね?僕ぶるーくって言います!よろしくね〜…..制服、スラックス選んだの?めちゃくちゃ似合ってるね!」


初めて俺と対面したときからそいつは俺を女子だと思っていた。それからも


br 「黒板上の方届く?僕がやってあげるよ」


br 「何その荷物!多すぎじゃない?!僕が持つよ!」


一緒に帰った時なんかも


br 「スマイルはこっちね、車道側は僕が歩くから!」


…..まぁ、気遣いが出来るいいやつなのは十分に伝わった。だからこそ、好きになってしまった。


でもあいつ…….ぶるーくは、悲しくなるくらい俺を女子だと勘違いしている。




__________________________


移動教室、俺はいつものようにぶるーくと一緒に教室に向かおうとしていた。


が、ぶるーくの姿が見つからない。


sm (まだ時間あるから大丈夫だけど…、いつもみたいに一緒に行こって言っといた方がいいよな、)


それから俺はぶるーくを探しに行こうと教室を出たところで、隣のクラスの女子と喋っているぶるーくを見つけてしまった。


正直、見たくなかった。こんな感情になるのは初めてで、それだけあいつのことが好きなんだなと痛感する。


…..やめてよ、そんな顔で笑わないで。ぶるーくの隣には俺がいるじゃん…。


黒い感情に飲み込まれそうになった時、ぶるーくに声を掛けられた。


br 「あれ?スマイルどうかしたの?…そうだ、次の移動も一緒に行こうね!」


…….嫌だ。


sm 「や、だ…..。俺、先行ってるから、」


困惑した声が聞こえたけど無視をした。何やってんだよ俺…


結局ぶるーくは時間ギリギリに教室に来た。授業中俺は先生の話もまともに聞かずにぶるーくのことを考えていた。


俺、いつの間にこんなに好きになってたの…?それも、相手を困らせるタイプの厄介な恋愛。


…..しんどかった。これ以上、好きにさせないでほしい。あぁそうだ、これ以上好きになるくらいなら、想いを伝えて全部終わりにしよう。


俺はスマホを手に取りLINEを開く。1番上にはぶるーくとの会話。


先生にバレないように文字を入力していく。幸いなことに今日は金曜日だ。放課後に呼び出して、土日は顔を合わせることもなく過ごそう。



『放課後、話したいことがある』



そうLINEが送られてきたのは金曜日の授業中だった。送り主は僕の想い人であるスマイルから。


今でも鮮明に覚えている僕たちの出会いは高校入学の日で、僕の一目惚れから始まった。


席に座り1人で本を読む彼は男の子にしては少し身長が低くて、袖の少し長い制服に身を包んでいた。


少しでも近付きたくて、でも男を好きになったことに戸惑いがあって…。隣の席を理由に彼に話しかけた。


…..相手を女子として捉えて


br 「初めまして、隣の席だよね?僕ぶるーくって言います!よろしくね〜…..制服、スラックス選んだの?めちゃくちゃ似合ってるね!」


それからも僕は少しでも一緒にいるために黒板を消すのを手伝ったり、荷物を運んであげたり色んなことをした。


一緒に帰る時に車道側を歩くことがあって、これは流石にやりすぎかな?って思うこともあった。


それでもやっぱり一緒にいられることが嬉しかった。



_________________________


休み時間、次の授業は移動教室で僕はいつもみたいにスマイルに一緒に行こうと声をかけようと思っていた。


が、隣のクラスの女子に廊下に呼びだされた。内容は「スマイルが気になってるから情報を回してほしい」との事。


僕が君に情報なんて渡すわけが無いじゃんか。なんて思っても直接は言えない僕は「ん〜、考えとくよw」なんて言って、笑って誤魔化した。


ふと視線を感じてそちらを見るとそこにはスマイルがいて酷くショックを受けた顔をしていた。内容が聞かれなかったのが不幸中の幸いだった。


僕は、ショックを受けている事を知らないふりしてスマイルに声をかける。


br 「あれ?スマイルどうかしたの?…そうだ、次の移動も一緒に行こうね!」


僕が言うとスマイルは予想外の言葉を口にする。


sm 「や、だ…..。俺、先行ってるから、」


待って、なんて言ったのに足は動かない。スマイルも聞こえなかったのかそのまま行ってしまった。


やらかした、と思っても遅かった。どうしよう…。……とりあえず授業には出席しないと、


br 「…..ごめん、僕次移動教室だから行くね」


話し相手にそう告げて教科書を持って教室に向かった。着いたのは授業のチャイムが鳴る1分前だった。


授業中は先生の言葉もまともに耳に入ってこなかった。僕はいよいよスマイルと一緒にいられなくなっちゃうのかな…


そんな暗いことを考えていると、スマホが震えた。なんだろ…?と思って開くとそこにはスマイルから1件のLINEがあった。



__________________________


HRが終わってからも俺たちは最後まで教室にいた。人が居なくなって沈黙が続く。


俺は耐えきれなくなって切り出した。


sm 「あの…さ、俺…..ずっとぶるーくが好きだったんだよね。…….知ってた?」


怖くて目を瞑ったまま俯く


嘘をついた。本当は今でもずっと好き。でもぶるーくは、俺なんて…..男なんて、恋愛の対象にはならないでしょ?


返事がないことに怖くなって目の前の彼を見ると、何とも言えない表情をしたぶるーくがいた。


br 「…..好きだった、って何…?」


俺に怒っているような、自分を責めているような、そんな声。


sm 「そのままの意味だよ。…..ぶるーくが好きになるべきは俺じゃないの。俺が男だって知らないでしょ」


間髪入れずにぶるーくは答える。


br 「知ってたよ、スマイルが男だって…..。…..スマイルだって僕が入学した日に一目惚れした事知らないでしょ?!」


なに…..それ…、


sm 「俺は…..!ぶるーくはずっと俺の事を女子だと思って接してて、俺が嫉妬してるのも知らなくて、俺がぶるーくをずっと好きでいたいことも知らないで…!!」


いよいよ言葉が纏まらなくなってきた


br 「僕は…、入学した日にスマイルに一目惚れしたの。でも…….男の人なんか好きになった事ないし分かんなくなっちゃったんだもん、」


ぶるーくは泣いていた。


もうお互い、言葉も顔もぐちゃぐちゃだった。


僕たちは一通り泣いて、それから話し合った。


どこから間違えちゃったのかな…、なんて思っても遅い。僕はスマイルに言った。


br 「多分僕たちは、ずっとお互いが好きでこの先も変わらないけど…..」


この後を言うのに戸惑った。でも1番好きで大切だからこそ、伝えないといけない。


br 「僕たちは、付き合わない方がいい」


スマイルも頷く。


sm 「…..だな。」


それから彼は言った。


sm 「俺たちがもう少し大人で、もう少し恋愛慣れしてて、もう少し綺麗な恋してたら、…….付き合えてたのかな」


どうなんだろう…..


でもこれだけは言える。


真剣に好きになって、相手を思って考えて、時に自分が制御出来なくても、最後の最後まで話し合って考えて


「「この人を好きになって、恋して、よかった」」

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