テラーノベル
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ゾルグを討ち、ついに王都に平和が戻った。 モルグは「覚醒胞子」を全力で大規模展開し、王都の住人ひとりひとりにガッツリ語りかけていった。
「さぁ、君はもう操られていない。起きて、いつもの自分に戻るんだ!」 「ここは……?うそ、私、正気に……」 「キノコ様……ありがとう。うぅ……」
泣きながら感謝を伝える人々、王様も涙をポロポロこぼして頭を下げる。
「貴殿がいなければ、我が国も、民も、そしてこの命すら失われていた。何とお礼を言えば良いか……」
「いや、礼はいいんだよ。ていうか皆、俺みたいな変なキノコに感謝なんて、ちょっと不思議な気分だな……」
住人たちは嬉し泣きしながらモルグに群がる。
老若男女が手を取り合い、まるで祝福のように見送った。
(……さて。少し休めと言われたが、俺はまた旅に出たい。次の「自分の役割」を探しにいかないとな……)
モルグは、そっと城門を抜けて帰ろうとした。
「き、キノコ様!」
振り向くと、立派な銀鎧の女剣士が走り寄ってきた。目が真っ赤で、だが背筋をピンと伸ばしている。
「ん、ん?……ああ!君はたしか――二階の玉座の近くで倒れていた剣士……!」
顔の傷痕もまだ痛々しい。でも眼差しは力強い。
女剣士は思いきり頭を下げた。
「わ、私は……!キノコ様と旅をしたい……です!!」
一瞬、場が静まり返る。
住人たちからも「おおー!」とどよめきが起きた。
(いや、このごつい女剣士。一人でも絶対生きていけるだろ……)
少し戸惑いつつ、モルグは正直に言った。
「いや、君は一人でも生きていけるタイプだろ?なんならもう天地無双でこの街も守れそうだしさ」
そこで、どこからか王様が割って入る。
「キノコ様――この子をどうぞ旅に連れ、さまざまな経験を積ませてやってはくれぬだろうか。信じるに足る剣士に育ててほしいのだ」
「うーん……断りきれねぇな、これ……はぁ。わかったよ。面倒みるさ。勝手についてきなって!」
女剣士は飛び上がるほど喜んだ。
「あ、ありがたき幸せ!!が、がんばります!」
モルグは改めて自己紹介する。
「じゃあ――俺はマッシュ・モルグ。キノコと呼んでくれてもいい」
「私は!リバ・カーンです!不器用だけど、かならずお役に立ちますから!」
街の人々が一斉に二人に手を振る。
「元気でねー!」 「キノコ様ありがとうー!」 「リバちゃんもがんばれ!」
王様まで帽子を外し、「どうか無事に、良い旅を――!」と叫ぶ。
「さ、行くか?リバ」 「はいっ、マッシュ様!ついていきます!」
こうして俺は、筋骨隆々の女剣士リバとともに、
また新たな旅へと歩きはじめた――。
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