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いや
正確に言えば体の一部であった
気付けば壊れた家の陰で
私の流れる血を兄は精一杯抑えていた
『あ”っ…お兄、ちゃ…』
「嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ……!」
必死に目を開けて情報を得ようとした
どうやら
私は右耳、兄は太腿の肉が削れたらしい
何が起こり
何故こんな事になったのかまだ分からない
土埃で薄汚れた瓦礫を赤い鮮血がポタポタと染めていく
あぁ、血が止まらない
自然と息が浅くなる
体中の震えを止められず出血が悪化する
自分自身の溢れ出る生唾を飲み込むことが出来ない
痛い
ただ痛い
風が吹く毎に
土埃の粒子が私の神経を刺激する
体を動かす毎に
体温が下がる感覚がする
お兄ちゃん
お兄ちゃん…!
この時は、もう既に
自分の死体が想像できた