お泊り会の会場になってる炎雰の家でくつろぎながら王華を呼んだ愛華を待ってるとチャイムの音が聞こえた。
「僕出てくる〜」
部屋にいる皆に声をかけて玄関に向かう。
「はい、は~い」
扉を開けるとちょっとだけ寒そうにしてる王華と、待たせたなみたいな顔してる愛華が居た。
「早く入って、僕も寒いし」
何の屁理屈もない、ヘラヘラした笑顔を向けて、僕は手招きをしながらそう言う。
「戻ったぞ〜」
「邪魔すんるね〜」
二人は、なんてことを言いながら家の中に入って、案内されるがままに、リビングに行った。
「おかえりンゴ~」
そう言ったのは、愛華の双子の妹で、にゃぽんのドールの鈴華。今日も独特の服装を上手いこと着こなしてる。というか、まともな事を通常時は何時も言わないんだよね。このドール。
「うわぁ~予想より速かった」
そう言ってるのは、ハンガリー王国のドール、海帆。相変わらず自身の兄のオーストリア=ハンガリー帝国のドールと同じ軍服を着てる。確か、正装がそうだってのと、結構なブラコンだから、だっけ?
「僕の勝ちだね。10ペンゲーは僕が貰う!」
なんて事を言って炎帆と賭けをしてたのはルーマニア王国のドール、琉炎。というか、何で賭け事何て今やってんの?
まぁ、二人共ノリが良いドールで、何かあれば、直ぐに場を盛り上げるってのが、良いところでもあるんだけど。実の所二人は、ノリが良いけど、結構な戦略家何だよね。
「うるさ、目が覚めたんだけど。あ、おかえり、それといらっしゃい」
人の家で呑気に寝てたのはブルガリア王国のドール、炎牙。海帆と琉炎の元気な声に起こされてちょっと不機嫌らしい。本当、寝るの好きだよね。でも、壁にもたれて寝るって神業をこんな所でしないで欲しい。たまに起きてるのかどうか分からなくて怖いし。
起こされてからも壁にもたれたままだし。炎牙の体幹どうなってんの?
「おや、随分遅かったですね、王華さん」
そう言って王華の方に貼り付けたような笑顔で行くのは、ナチス・ドイツのドール、津炎。
「ちょっ、ちょっと待って欲しいんね。その手に持ってる塩酸を捨てて欲しいんね。お願いなんね」
それでも貼り付けたような笑顔で王華の方に津炎はジリジリと寄って行く。あれはすんごく怒ってるなぁ。簡単には止められないや。
「言い訳を聞いて差し上げましょう」
どっかの腹黒紳士、、、、、、イギリスの化身みたいな笑顔で王華は、壁にまで津炎に迫られてた。王華はそのまま全てを白状した。
やっぱり、シスコンだなぁ。こっちに火花が飛ばないようにしとこ。
「お茶淹れてきたよ、、、、、、、、、?」
トレイに熱々の愛華が持ってきた緑茶を淹れたコップを乗せた炎雰がそう言った次の瞬間、驚きと、戸惑いと、呆れが顔に出てた。
「どうしたんですか?炎雰、、、、、、、、、、、?」
炎雰の後を追って来た愛華の弟の炎帝も固まっちゃった。でも、炎帝の方が驚いてるな。
まぁ、二人がそうなるのも当たり前だろうね。だって、王華が正座して、頭に水入りバケツを乗っけて未だに津炎に説教食らってる、なんて絵面の最終形態が広がってるんだもん。おもしろすぎでしょ。
津炎が仲間思いで、真面目なのは知ってるけど、こんな面白い事出来るなんて知らなかった。津炎からのお説教はもう恒例行事になってるんだけど、毎回お説教の仕方が変わるから面白いんだよね。
「もう、説教終わると、俺は思う」
海帆は又賭けをし始めてんだけど。
「いや、まだ続くでしょ」
琉炎も賭け始めちゃった。
「俺はもう終わると思うぞ」
なんで!?炎牙までやり始めたんだけど。何時ものツッコミ役消えてんじゃん!
このまんまだと収集つかなくなりそう。まぁ、いつもの事か。
「津炎、もう終わりにしとけ。せっかく入れてもらった茶が冷めては申し訳が立たん」
そう愛華が津炎を静止させた事によって王華は助けられたみたい。でも、結構足痺れたっぽいね。むっちゃっ足擦ってるし。
それから僕達は炎雰と炎帝が入れてくれた美味しい緑茶を啜りながら雑談をし始めた。