京介side
寒さが増す10月初旬。
フェスにカムバにで忙しくて 体調を崩すメンバーも少なくはなかった。
そして、俺もそのうちの1人。
「ゴホッ、ンッ」
数日前から続く咳は 治るどころかむしろ酷くなっていた。
柾哉「京介、まだ咳出てるね」
柾哉くんにそう聞かれ、”うん”と小さく返す。
薬だって飲んでるし、ちゃんと寝てる。
なにが原因かわからないのが余計に腹立つ。
そして心配なのが明日出演するフェス。
MINIじゃない人が沢山いるフェスは ファンを増やすチャンスになる。
折角のチャンスを無駄にしたくない。
そう思ってるのに喉の痛みは増す一方だった。
そして迎えたフェス当日。
リハも歌う予定だったけど刺激しないほうが
いいって大夢に言われて辞めた。
「ゴホッ、ン」
そして俺の喉は良くならないまま。
匠海「やっぱ、辞めたほうがいいんちゃう?」
そう言われて慌てて首を振る。
大夢「ここで無理しても意味ないんだよ」
「これが最後じゃないんだしさ」
柾哉「でも、京介頑張ってきたもんね?」
ダンスだって喉のケアだって一生懸命やった。
そんな俺の気持ちを汲んでくれる 柾哉くんに胸が熱くなった。
豊凡「まあ曲数そんな多くないし
カバーできるでしょ」
豊凡くんがそう言いみんな納得してくれた。
カバーできるけどちゃんと歌いたい。
だって俺は、歌がないとここに いる意味がないから。
柾哉「京介、焦らないよ」
「絶対元通り歌えるようになるから」
京介「ごめんね、ありがとッ」
みんなの優しさが今の俺には痛かった。
大夢side
色んなアーティストさんがいるフェスは 正直不安のほうが大きい。
でも今日はそれ以上に心配なことが一つ。
京介「ゴホッ、ンッ」
柾哉くんのMC中にマイクに入らないように 咳をしている京介に目を向けた。
数日前から喉を痛めてる京介の喉が 急によくなることなんてなくて、
“次がある”なんて言ったけど 今日と同じ日なんてない。
セトリは変わるし来てくれるMINIも変わる。
今日を頑張りたい京介の気持ちもわかるけど、今の京介は壊れてしまいそうだった。
そして次は、”君がいたから”。
INIにとってバラード系は珍しくて、
ボーカルが目立つ曲だからこそ 歌う時はちょっと緊張する。
そしてそれは多分、京介も同じ。
隣に来た京介と目を合わせる。
“カバーするから”の意を込めて頷くと 京介は安心した顔をして前を向いた。
京介side
次の曲は、”君がいたから”。
フェスでバラード曲を歌うのは珍しくて、
ボーカルが目立つ曲だからこそ 少し緊張していた。
ふと隣を見ると、 “大丈夫”と頷く大夢と目が合った。
隣には大夢がいる。
歌えなくなったらきっとカバーしてくれる。
そう思うと不思議と心が軽くなった。
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今出せる最大限の声で歌い終えた前半。
問題はラスサビ前の高音パート。
大丈夫、まだやれる。
そう自分に言い聞かせマイクを握る。
自分のパートが来ると思い、 息を吸うといつもより激しい痛みが走った。
咄嗟に大夢の手を握る。
大夢「What I need you 繋がる」
大夢はびっくりしながらだけど 俺より上手に歌い上げた。
カバーしてくれた安心感と
MINIに情けない姿を見せてしまった後悔。
それ以上に喉が痛くて、俺のメンタルは最悪だった。
大夢side
なんとか終えたフェス。
結局京介は最後まで出れなくて途中で柾哉くんが舞台裏に連れて行った。
京介「‥ロムッ」
硬そうな椅子の上で寝かされてる 京介に名前を呼ばれる。
大夢「だから、無理しないでって言ったのに」
京介「ゴメッ、」
大夢「ちゃんと歌えてたよ」
「だから、心配しないで」
フェスが終わってからのSNSは 京介の話題でいっぱいだった。
大夢「いつもより力強くて良かったって」
もちろん体調を心配するコメントが多い。
けど、一生懸命歌う京介に批判する人なんかいなかった。
あったかいMINIのコメントを見せると静かに涙を流し始めた京介。
思うことは色々ある。
不安になることもあるけどそれをいちいち吐き出してたらきりがない。
でも、
大夢「1人じゃないから、絶対」
「俺はずっと京介と歌いたいから」
いつもあんまり言わない本音をたまには吐き出してもいいと思う。
京介は、1人じゃないから。
長らく更新を止めてしまいすみません。
更新が止まってる間も♡やフォローをしてくださってありがとうございます!!
最近、あまりいい作品が書けなくてですね、笑
絶賛スランプ中ですね。笑
なのでたくさん♡とコメントください!!
♡とコメントが力になります。
どうかお願いします🙇
コメント
2件
好き,泣ける(?)