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四話
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教室がざわめき始めたとき、前方のドアが開かれた。
「ほら早く席に座れ~」
担任の先生がそう促しながら入ってくる。
「文化祭実行委員、前に出てきてくれ」
今日は出席をとることなく、文化祭実行委員の二人を黒板の前に呼ぶ。
十一月の本番までに間に合わせればいいとは言え、九月になった今でも誰一人声を上げずに、何も決めないまま此処まで来てしまった。
流石にまずいとお思ったかもしれない。
「今日中に役割ぐらいは決めてグループで動くようにしてくれ」
スケジュールを管理するグループ、制作や材料を調達するグループ、デザインを考えるグループの大きく三つに分けるそうだ。
「後、此のクラスのテーマカラーは青だからな」
クラスカラーというのが最初から決まっていて、体育祭のハチマキや、文化祭のクラスTシャツで使うことになっている。
文化祭の展示もクラスカラーを使うみたいだ。
「それぞれやりたいのを挙手して決めるように。じゃ、後は頼んだ」
先生はプリントを実行委員に渡すと、進行を任せて教室から出ていってしまった。
ドアが閉まった直後、各々が周囲の人と小声で話し始める。
一緒にやろうと声を掛け合っている女子のグループや、
「展示ってなにするの?」
という戸惑いの声が聞こえてくる。
あの中なら、制作をするグループに入りたい。大変だろうけど、展示の作業に一番関われそうだ。
「ね~、スケジュール管理とか楽そうで良くない?」
私の隣の列の前方に座っている美玖が振り返って、私に声をかけてきた。
「私…」
スケジュールじゃなくて制作をするグループがいいな。
そう言ったら美玖は一緒に制作を選んでくれるかもしれない。
だけど無理矢理付き合わせることになる。それなら一緒に楽しくやれそうなのを選んだほうがいい。私は微笑んで、
「そうだね」
と了承した。
「は~い!私達スケジュールやりま~す!」
響き渡った美玖の声に、実行委員の子は困ったように眉を下げた。手に持っていたプリントの束を教卓に置いて、控えめな声で呼びかける。
「…スケジュール希望の人、手を挙げて」
暗黙の了解といった形で、私と美玖だけが天井に向かって手を伸ばす。
スケジュールの定員は三人。けれど他の人は誰も手を挙げない。以前であれば三人グループの私達は、ぴったりだったはずなのに。
「じゃあひとまず別のグループを決めます。デザイングループ希望の人、手を挙げて」
展示のテーマやデザインを考えるグループと、制作グループが決まっていく。
最後に残った一人が誰なのか予想がつき、顔が強張る。
「ぇっと…間宮くん、スケジュールで大丈夫?」
「別にいいけど」
実行委員の子が顔色を伺うように聞くと、間宮くんはすんなり受け入れた。
間宮くんと美玖と私。
歪な三人が同じグループになってしまった。
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