狩り手

ガイア、エル、そして零の3人は、一室に集まっていた。ガイアはいつもの軽薄な笑顔を浮かべながら、エルと零に向けて話しかけていた。だが、その表情は次第に変わっていった。

「おい、聞いたか？」ガイアが軽く言った。「ルナが死んだってさ。」

エルは無言でその言葉を受け止め、零は無表情で黙っていた。ガイアはしばらく続けて、エルと零を見回した。「でも、別に何でもないんだろ？ ルナは自分で選んだ道だし。」

エルの視線がガイアに向かう。無言で伝えられる冷徹さがあった。その瞬間、ガイアの表情が少し曇る。

「まさか、そんなに簡単に割り切れると思ってたわけじゃないよな？」ガイアは自分に問いかけるように言った。だがその言葉には、少しの罪悪感と焦燥が混じっていた。

零はまるで感情を抑えたかのように黙っている。ただ、彼の目は深い沈黙の中で揺れていた。その様子を見たガイアがふと気づき、少し気まずくなった。

「え…お前、泪を流すことはないんだな。」ガイアは零に向かってそう言った。

その時、零がゆっくりと口を開く。

「泪を流すか…」彼は少し笑った。だがその笑みはどこか無理があった。「俺には無理だな。泪なんて、乾いてしまうだろ？」

ガイアはその言葉に、ますます気まずさを感じた。彼は本来、どんな状況でも軽口を叩くことで場を和ませようとしてきた。しかし、今回ばかりはその方法がうまくいかなかった。エルが無言で立ち上がり、窓際に歩いていった。

その背中に、ガイアは一瞬、何かを感じ取った。

「誰かが死ぬっていうのはいつものことだ。」エルの声が静かに響いた。「でも意味があるなら、我々も戦わなければならない。」

ガイアはその言葉にうなずき、そして再び零を見た。

「お前、ルナのことをどう思ってるんだ？」と、ガイアは零に尋ねた。

零は少し黙った後、静かに答える。

「…どう思っているかって言われても、特に…」彼の言葉には曖昧な響きがあった。「ただ、あいつは他の誰とも違った。やつは、ただの『メスガキ』なんて言われていたけど、戦う時は本気だった。それが、俺にとってはよかった。」

ガイアは思わず言葉を飲み込んだ。彼が見たのは、冷静に振る舞おうとする零の中に潜む痛みだった。その表情にガイアは少し驚き、そして自分の中の軽薄な態度に対する違和感を感じた。

「泪を流さないっていうのは、案外、無理に見せないだけなんだな。」ガイアは呟いた。

零は目を閉じ、そして静かに答えた。

「そうだろうな。」

その言葉に、ガイアはしばらく黙っていた。どこか虚しさが漂う部屋の中、エルが再び振り返った。

「今はただ、次の戦いに備えるべきだ。」彼の言葉が決然と響く。「ルナの死を無駄にしないためにも。」

ガイアはその言葉に深く頷き、エルに視線を向けた。

「お前の言う通りだな。」ガイアは少し冷静になり、顔を引き締めると、最後に零を見て言った。「俺たちが今、できるのは、それだけだ。」

その後、しばらく静寂が続いた。零、ガイア、エル、3人はそれぞれの思いを胸に、戦いに向けて心を整えていた。