コマside
アゲハちゃんはお腹壊したって言ってたけど…
あれ、噓なんだろうなぁ
だって隙間からギリギリ見えるくらいの手首あたりに赤い跡があるんだもん
ただの虫刺されならいいんだけど…
もし、他の男につけられたとしたら僕、嫉妬でおかしくなっちゃいそうだよ
アゲハちゃんは鈍感だからなぁ
きっと赤い跡(キスマーク)を付けられた意味、知らないんだろうなぁ
しかも手首につけられてるし。
鎖骨につけるマークの意味は『愛してる、欲求』
愛してるってことは、その人は長いことアゲハちゃんに思いを寄せてるのかな?
どっちにしろアゲハちゃんにキスマークつけるなんて…
僕だってアゲハちゃんのこと好きなのに…
勿論、僕だけじゃない。
ジンペイ君や、マタロウ君。
メラ先輩やキュウビ先輩だってそう。
エマさんもアゲハちゃんのこと好きだし…
アゲハ「コマ君?難しい顔してどうしたの?」
アゲハちゃんが心配そうな顔で僕の事を見てくれるだけで、
舞い上がっちゃいそうだよ
コマ「ううん、なんでもない!」
僕はさっきまでの考えを、頭の隅に置いた
~17:57~
マタロウ「どう?コマ君」
コマ「来ないね…」
コマは望遠鏡をのぞきながら言う
ジンペイ「立て!立つんだジョニー!!」
ジンペイはいきなり目に眼帯をつけ、
海賊の服を着ながら『明日のジョニー』ごっこをする
バケーラ「燃え尽きたド…」
バケーラは色素が抜けたように真っ白になり、机に突っ伏す
ジンペイ「ジョニーッ!!」
マタロウ「そこの2人!暇があれば『明日のジョニー』ごっこしない!」
マタロウは2人を指差しながら注意する
アカネ「2人…?」
アカネには当然、バケーラの姿は見えていない
フブキ「気にしないで…;」
フブキはアカネを窘める
フブキ「そういえば最近、アカネ元気なかったでしょ?何かあった?」
アカネ「え…そう見える…?」
アカネは眉を少し下げる
フブキ「なんとなくだけど…」
アカネ「…そうだね…色々あって…」
アカネ『私、お父さんなんか大っ嫌い!!』
アカネ「……」
その時だった
外から、地響きが聞こえる
アゲハ、ジンペイ、マタロウは窓に寄る
見ると、宮沢さんがこちらに向かってゆっくりと歩いてきていた
マタロウ「巨大サラリーマン、キタァーーッ!!」
マタロウ「あんなのと、どうやって戦うの…?」
アゲハ達は外に出て、辺りをキョロキョロ見回す宮沢さんを見ている
フブキ「大丈夫!」
フブキの声にマタロウは振り返る
フブキはガシャガシャと大きな音を立て、何かの機械を地面に置いた
アゲハ「なに、これ?」
フブキ「立体飛行装置よ!」
フブキは自慢げに言う
ジンペイ「立体飛行装置?」
マタロウ「え!?それって、紐みたいなものがビューンと出て、ビルの間を飛んでいくやつだよねっ!」
フブキ「んー…そんな感じ?」
フブキはマタロウの言ってることはよくわからないが、
取り合えず話に合わせた
マタロウ「ええーーッ!?僕も!?」
てっきりアゲハ、ジンペイ、コマの3人が装着すると思っていたマタロウは吃驚する
マタロウ「しかも想像してたのとだいぶ違うし…」
フブキはそんな心配の声を無視し、なんかのスイッチを押す
フブキ「レディー…GO!」
その途端、4人のブーツの裏についてるバネがびよーんッと跳ねる
勿論4人は、宮沢さんのもとへ吹っ飛ばされる
マタロウ「わああーーッ!?」
フブキはどこから持ってきたのか、片手にメガホンを持ちながら指図する
フブキ「さあ、皆!攻撃フォーメーション『サクラサクセブンティ』発動よっ!」
フブキのわけわからんフォーメーションの名前を気にせず、ジンペイは了承する
ジンペイ「了解であります!」
マタロウ「なにそれ!
テキトーなフォーメーションにテキトーな返事してるだけじゃんか!」
マタロウがそう突っ込んでる間に、ジンペイは腰の横についてる縄をほどき、
端っこをマタロウに投げる
ジンペイ「ヘイ、マタロウ!」
マタロウはそれを反射的に受け取ってしまう
ジンペイ「ヘイ、アゲハ!」
ジンペイ「ヘイ、コマ君!」
アゲハとコマも慌てて受け取る
そして皆、1回地面に着地すると、またびよよーんッと飛び上がり、
ロープを宮沢さんの足に巻き付ける
バランスを崩した宮沢さんは、大きな音を立て、後ろに倒れた
宮沢さんが痛みに呻いていると、ジンペイが話しかける
ジンペイ「おい、お前!なにが目的でこの学園をうろついてた!」
宮沢さんは上半身を起こし、声を上げる
宮沢「それは…どうしても娘に謝りたくて…」
アゲハ「娘?」
その時、アカネが声を上げる
アカネ「なにしてるのよ…
お父さん!」
「「「「え」」」」
アゲハ、ジンペイ、マタロウ、コマ、フブキの5人は一瞬フリーズすると
学園シティに響き渡るくらいの大きな声を上げる
「「「「えええーーーッ!?!?」」」」
アゲハ「お、お父さん!?」
マタロウ「この巨大サラリーマンが!?」
アカネは突然、過去の話をする
アカネ「お父さんは、私が小さい頃は、家族思いの人でした。
…でも、いつの頃か家には遅くにしか帰ってこなくて…
母も私も、寂しい思いをしていました。
…そんな時、偶々外で父を見かけたんです。自分よりも若い人にペコペコ
謝っていて、すごくカッコ悪く見えて、つい言ってしまったんです」
アカネ『私、お父さんなんか大っ嫌い!!』
アカネは、机をバンッと叩く
アカネ『私やお母さんをほったらかしにして、
どんなスゴイ仕事をしてるのかと思ったら…
ペコペコ頭を下げてるだけの【小さくて情けないサラリーマン】じゃない!
…私はもっと、【大きくてカッコイイお父さん】が欲しかった…』
宮沢『アカネ…私は…』
アカネ『【小さくて情けないお父さん】なんか要らない!!』
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