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名もなき小国。
私は今そこにいる。
パンやクッキーといった焼き菓子などが有名な国だ。
夢「お姉さん!クリームパン一つ!」
お店の人「あら、綺麗な嬢ちゃんだねぇ!一つおまけしとくよ!」
夢「わぁ!いいの?ありがとう!」
お店の人「いいんだよ!ほら、持ってきな!」
小さな国だが、住む人々の心は広いようだ。
夢「今日はどこで泊まろうかな」
オニル「夢、おはよう」
夢「あ、オニル!久しぶり!」
オニル「あれ、ここ、どこ?」
夢「名前の無い小さな国だよ 」
オニル「そっか。」
オニル「人間の国?」
夢「うん!魔人も魔物も基本入れないはず!」
オニル「そっか、ここなら丁度いいかな」
夢「なにが?」
オニル「ん、なんでもない」
今いる場所を確認してすぐ眠りについてしまったオニル。
夢「オニルはよく寝るよねぇ。やりたいこととかないのかな 」
夢「よし、宿は取れたし、ちょっとお昼寝しようかな」
街は小さいが活気で溢れていて、魔法で水を出し道に撒く子や、赤子を抱いて散歩している子もいた。
もう、やり残したことはない。
家族に愛されなかったけど、ギィやみんなに愛された。
後悔と、憎しみと、恐怖の多い人生だったと思う。
50年という短い時間だったけど、色々なことがあった。
強いて言うなら、路地で一緒に過ごしたみんなに。幸せな夢が現実になるようにと付けてくれたみんなに、ありがとうとごめんなさいを言いたかったと思ったから。今ここにいる。
10年前、私が滅ぼした小さな国。
その後、少しづつ復興している国に。
この国が魔人や魔物が入るのを禁じたのは10年前私という天魔が、魔人が滅ぼしたからだろう。
夢(まぁ…やすやすと入れちゃったけど。)
10年前滅ぼしたことに罪悪感は無い。
夢「はっはっ」
夢「みんなを探さなきゃ。」
夢「みんなを…!!」
悪者「おい!生き残りがいたぞ!!」
夢「お前が…」
悪者「連れてけ!!」
夢「みんなは…。みんなはどこに」
悪者「みんなぁ?あぁ、女はミルペ侯爵に売り飛ばしたよw今頃食われてるんじゃねぇか?」
悪者「男も食い物になってるかもな」
夢「ミルペ侯爵…」
ミルペ侯爵。
みんながあの人だけには捕まってはダメだと、言っていた。
子供を好んで攫い、二つの意味で食らう最悪な人間だからだ。
悪者「こんな綺麗な女なら高く売れるんじゃねぇか?」
夢「許さない。みんなを、返して…」
告_個体名夢のユニークスキル乱舞華の獲得に成功。
天魔としての第一次成長の成功を確認
ユニークスキル重力操作を獲得。
ユニークスキル怒狂者を獲得。
ユニークスキル千里眼を獲得。
ユニークスキル崩壊向体を獲得。
ユニークスキル魔力感知を獲得。
ユニークスキル熱変動耐性を獲得。
常時発動スキル、崩壊向体の影響で獲得したスキルの大幅強化を確認。
誰も、誰も私のこと、私達のこと助けてくれない。
自分の体は自分で守らなきゃ。
私を傷つける者は殺さなきゃ。
誰一人残さず。
そうしてこの国は滅んだ。
滅んだ後も周りの国が救助や、物資の回収に向かったがこちらに来たものは皆等しく、屍の山の一つとなった。
それを5年間続けていた。
見かねたギィが私を止めに来た。と言うわけだ。
ついさっきまで詳しいことは忘れていた。
ギィが私がもう一度復讐に走らない為に記憶を抑えていたのだろう。
抑えていたオーラが、魔力が溢れ出す
今までの比にならないレベルで溢れ出す。
その結果ギィのスキルすら押し退けた。
体が痛い。頭が痛い。
でも何故か心地良い。
抑えられていた衝動が、復讐心が、恨みが、憎しみが、嫌悪が、溢れ出す。
人間を許してはいけない。
人間はみんな敵だ。
もう私は夢ではなくなった。
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