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#最後はハッピーエンド予定
#衝撃のラスト
山根利広
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もうすっかり、暗くなっていた。夜空には三日月が光り始め、虫の声も聞こえる。
神野さんの自宅から出て、白紙さんは立ち止まって言った。
「あのガキには、もう関わるな」
一瞬何を言われているのかわからなかったが、理解した瞬間に僕の心にどす黒いものが吹き出してくるのがわかった。
「それは、どういう意味ですか」
「そのままの意味だ。あのガキにはもう近付くな」
「……見捨てるってことですか」
僕は祈った。違う言葉を言ってくれたらいい。
「そういうことだ」
しかし現実は、そう上手くはいかなかった。
白紙さんがそういう答えを出すのなら、僕は戦わざるを得ない。
「そんなことできるわけないじゃないですか!」
抑えこもうとした感情が、言葉を発する度に噴出する。
怒りなのか、悲しみなのか。僕にはもう判別がつかなかった。
「神野さんがああなったのは、僕のせいです。それにせっかく友達になったのに、見捨てるなんてできません」
白紙さんは、はあと大げさにため息をついた。
「まだ会ってそんなに経ってもいない人間のために、危険を冒すのか」
白紙さんの目が、訝しげに僕を見ていた。
「はい」
僕は迷い無く答えた。
まっすぐに目を見つめ返す。
数瞬あって、また白紙さんが大きくため息をついた。
「そうか。だったら好きにしろ」
「白紙さんは、何もしないんですか」
まだ僕の中のどろどろとした感情は、収まらなかった。
腹の底が冷えて、体の奥底から衝動的な力が湧いてくる。
「どうして俺が何かをするんだ」
「僕よりずっと長い付き合いなのに、何もしないんですか」
あの神野さんの言葉を、白紙さん自らの手で否定してほしかった。
「俺は、ガキのことなんかどうでもいい」
どくんと心臓が跳ねた。どうでもいい。
その言葉が、頭の中で何度も繰り返される。
「さっきも言ったが、お前がやることにはもう口を出さない。その代わり、俺を巻き込むな。お前が自分で決めたことだ」
白紙さんの言っていることは正しい。
僕がやりたいのだから、僕だけで完結すればいい話だ。
それでも、白紙さんには否定してほしかった。
一緒に神野さんを助けると、言って欲しかった。
だってこれじゃあ、ただの犯罪者と同じじゃないのか。
「どうしてそんなに薄情なんですか!」
蓋がはじけ飛んだ。
「どうせ僕や足立さんのこともどうでもいいと思ってるんでしょ!」
もう言葉は、濁流のように溢れて止まらなかった。こんな風に誰かに感情をぶつけるのは、人生で初めてだった。
「言われなくても、全部自分で全部なんとかしますよ!」
白紙さんも足立さんも、何も言わなかった。
それが余計に、僕の怒りを助長させた。
僕は二人を振り返ることなく、神社から出て行った。
いつもより大股で歩いていると、段々と頭は冷静になってきた。
あそこまで啖呵をきったのはいいものの、一体どうしたら神野さんを救うことができるのだろうか。
期限はたったの七日間しかない。
ぐるぐると考えていると、僕のポケットのスマホが震えた。
◇
「どうするんだ」
私は重い口を開いた。
普段なら、全て白紙に任せて黙って見ている。
だが今回は、口を挟まざるを得なかった。
「どうするって?」
白紙は、私の質問の意図がわからないようだった。
いつの間にか、私より十センチも背が高く成長していた。
それなのに心はあの頃のまま、何一つ変わっていない。
「あの子だよ。類くんだ」
「……類?」
白紙は、一瞬考える動作をした。
いつもそうだ。
人のことに、興味がない。
私はそれを悪いことだとは思わない。
実際に、私もそういう考えを持っている。
それでも白紙のそれは、私とは一線を画すものだった。
「ああ、同行者くんか。どうするもなにも、あいつが自分で決めたことだ」
「止めなくていいのか。このままだと、あそこに飛び込むことになる」
「好きにしたらいい。俺には関係ない」
私はため息をついた。
情けない。
白紙ではなく、自分が。
彼の保護者として、私は何一つ教えることはできなかったのかもしれない。
「……そうか。じゃあ私は行くから、今日は自分で帰りなさい」
それでも、親代わりとしてまだできることはあるはずだ。
「どこに?」
「類くんのところだ」
「わかった」
白紙はそう言うと、いつもと同じ態度で神社を出て行った。
私は車のエンジンをかける。
まだ類くんも、そう遠くへは行っていないだろう。
スマホを操作して、電話をかけた。
出てくれるだろうか。
耳にスマホを当てると、聞こえてきたのはコール音ではなかった。
どうやら話し中のようだった。
もしかして、着信拒否でもされてしまったのだろうか。
類くんは、白紙に必要な友人だ。
本人はそう思っていないだろう。
それでもいつか、わかるときがくる。
これは確信だった。
それに、あの宗教との関わりは止めなければならない。
私は車を走らせた。
まだそんなに時間は経っていない。
探し出して、直接話すしかないだろう。
例えあの話の続きを話すことになったとしても、構わない。
徐行しながら道を探すと、神社から出た下り坂に類くんはいた。
車を路肩に寄せて、窓を開ける。
「類くん」
「あ、足立さん」
類くんは、車の方へやってきた。
その表情には、もう怒りはない。
「どうしたんですか」
「類くん、話があるんだ。助手席に乗ってくれ」
断られると思っていたが、類くんはすぐに助手席に乗り込んでくれた。
「どこかで話そう。確か近くに喫茶店があるはずだ」
私は車を走らせた。
コメント
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うわああ第17話…!!😭💦 主人公の怒りと悲しみがぐちゃぐちゃに混ざって爆発するところ、マジで胸が締め付けられたよ…「どうせ僕や足立さんのこともどうでもいいと思ってるんでしょ!」の叫び、今までの我慢が一気に溢れた感じがして読んでて辛かったし熱かった。白紙さんの冷たさと対照的に、足立さんが“保護者”として動き出したのじんわりきた…!続き気になりすぎるよ〜‼️