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お前は、本当に面倒な奴だ。
最初、お前は、たまたま俺と同じ電車に乗っていて、急に話しかけてきた。
「ねぇねぇ!!もしかして君も、そこの中学校の新入生だったりするの!?」
「うわ、朝からなんだよ、ま、そ、そうだけど」
「本当!?実は私この路線に友達いなくてさ〜、登下校中に話しながら帰れる人、欲しかったんだよね!!よかったらお友達になってくれない?」
「はぁ?急になんなんだよ、知ったこっちゃねーよお前の友達事情とかさ」
「いいの!?ありがとう〜♪」
「人の話聞いてたのかお前!?」
お前は、俺がいつ、どこにいても付き纏ってきて、俺の知り合いに勘違いされたこともあったんだぞ。
「え、渡辺、ま、まさか、か、彼女できたのか!?」
「ちげーよこんなやつ彼女になんてしたくないわ!!」
「じゃあなんでこんなに渡辺についてってるのさ」
「俺も知らん」
「えー無意識モテやめろよー」
「だから違ぇって!!」
こういうのって普通照れながら言うもんじゃないのか、今の俺は照れるどころか、とっととお前から離れたくてしかたなかったんだ。
「あー、あぢぃ…」
そんな一言が勝手に出てくる、まだまだ暑さの厳しい8月の空には、お前みたいな、俺を呆れさせるくらいに鬱陶しく輝く太陽が浮いていた。
「あー、ちょっとはこの太陽ましになってくんねーかな」
と、1人で呟くと、またお前が来たんだよ。
「渡辺くーん!!」
正直太陽くらいお前が鬱陶しかったよ。無駄に明るいとこなんか、そっくりじゃねーか。
「みんなぽっかぽかの笑顔っていうのを連想して、私はぴかぴか輝くおひさまが好きだよ!!」
「この暑さはぽっかぽかどころじゃねーけどな」
「あれれ、そうだね〜…じゃあ、ぽっかぽかの、透くんがいいな!!」
「は?俺?」
「うん!!きっと笑顔の透くんが、いっちばん素敵で、ああやって一生懸命光るおひさまみたい!!」
「いやいや、あんなに無駄に光ってても…」
と言いながら太陽の方を見ると、やっぱり鬱陶しいくらいに光ってた。でも、もしあの太陽がお前みたいな性格をしていたのなら、それはありえるのかもしれないな。
そうか、あの太陽はお前だったんだな。その時に、俺はやっと理解したんだよ。
だから…
「早く、あの頃みたいに、面倒に輝いてくれよ…」
辺りは一気に暗くなっていて、雪がはらはらと舞い始めていた。
もう、あの夏のような面倒な太陽は、どこにもなくて、俺のいちばん身近な太陽もいなかった。
俺は3本の花の束を道路脇に添えて、泣きながらあの夏が、あの面倒な太陽がまた来ることを、ずっと、願っていた。