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ぽんぽんず
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第10話【最高神の禁制と、皇帝の真意】
「お前は……どこまで、悪趣味なのだ……っ」
腕の中で、屈辱と愛しさにレッドダイヤモンドの瞳を潤ませるアイラナ。
そのウブな反応を存分に楽しんでいたアーモンドだったが、ふと、その薄紫色の瞳に、いたずらっぽくも誇らしげな光を灯らせた。
「ねえ、アイラナちゃん。君は僕が『天界がつまんないから』って理由だけで、自ら翼をもいで堕天したと思ってるでしょう?」
「……違ったというのか? お前はそう言い残して天界を去ったと、風の噂で聞いたぞ」
アイラナが怪訝そうに眉をひそめると、アーモンドは彼女の耳元から少しだけ顔を離し、夜空を見上げるように小さく息をついた。
「半分は本当。でもね、勝手に堕天した僕に最高神ゼウスが激怒しちゃってさ。
……とんでもない
『神罰(ペナルティ)』
を課されてたんだよね。
大戦で1万人にまで激減した人間界の人口を、100倍の『100万人』にするまでう、魔界への立ち入りを一切禁ずる、っていう禁制」
「100万人……!」
大戦で荒廃した世界で、それだけの人口を増やすことがどれほど過酷なことか、魔皇帝である彼女には痛いほどよく分かる。
「だからさ、僕は人間界で『アーモンド皇帝』
として名を変え、せっせと国を豊かにしてたんだ。平和にしないと人間って増えないし、
せっかく増えた人口を減らすような圧政や不届き者は、きっちりきっかり、僕の手で『処分』しなきゃいけなかったからね」
アーモンドはにやりと、いつもの鬼畜ドSな笑みを浮かべた。
彼がミラディア帝国で完璧な統治を行い、悪人に容赦のない制裁を加えていた本当の理由。
それはすべて、最高神の罰をクリアし、この愛しい魔皇帝に会いに行くためだったのだ。
「そして――つい先月、人間界の人口がめでたく100万人を突破したんだよね。ゼウスの禁制は、完全に解除された」
アーモンドはアイラナの顎をクイと持ち上げ、その綺麗なレッドダイヤモンドの瞳を至近距離で覗き込んだ。
「これで、僕を縛るものは何一つない。だから、この不可侵条約を建前にして、やっと君を迎えに来られたんだ。……この800年、僕がどれだけ君に会いたくて、どれだけ退屈な公務を我慢してきたか、分かる?」
アーモンドの流し目が、ぐっと妖しく細められる。
罰を完全にクリアし、堂々と魔界に降り立った元最強大天使。
その底知れない執念とドSな愛の深さを突きつけられ、アイラナの頑なだった心は、今度こそ完全に降伏せざるを得ないのだった。