「赤ちゃんを流産したですって!!?? 美晴さん、あなたなんてことをしてくれたのぉッ!!」
義理母にも平手打ちを喰らわされた。更に口内が切れて唇の端から出血した。
「原因は感染症ですって?」
「は、はい……お医者様にそう言われまして……」
「でもあなた、昨日入院していたって言っていたわよね?」
「は、はい……」
「退院したのは一昨日と先生がおっしゃっているけれど、どういうことなのかしらっ!?」
「そ、それは……」
昨日は義母の相手をしたくなくて、家に閉じこもっていたのだ。それを知られている――!
「感染症なんて、うちの幹雄ちゃんに限ってそんな病気なんか持っていないし、どうせ美晴さんが浮気でもして子供をダメにしたんでしょおッ!! 昨日だって嘘ついて家を空けるなんて信じられないわッ! どう責任を取るつもりなの!?」
「母さんの言う通りだ。美晴、お前が昨日浮気したんだろっ! 僕の大事な子をダメにしやがって!」
子供を亡くしただけでも辛いのに、浮気を疑われた挙句、二人から死ぬほど責められた。
今日は一人で帰れと義理実家を追い出された美晴は、とぼとぼとマンションへ戻った。幹雄のために一生懸命用意した食事は全部無駄になった。帰ってきたら喜んでもらえるように、手の込んだ料理を作っていたのに――
涙がとめどなく溢れた。苦しい、悔しい、辛い――憎悪が渦巻き、美晴の中でなにかが切れた。もう遠慮はいらない。
スマートフォンを取り出し、復讐アプリを立ち上げた。強制終了したはずなのに画面は恐ろしい状態で止まったままだった。まるで美晴の心とリンクしているかのようだ。
『あなたは本当に復讐を望みますか?』
美晴は今度こそ迷わずにYesをタップした。
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