テラーノベル
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きれいな焦げ目の甘めの卵焼きを口に運びながら、私は前世のことを思い返していた。
ーー私こと、大川光は運だけの人生だった。無鉄砲にも、たまたま通りかかった燃え盛る家に飛び込んで赤ちゃんを救出したり、自殺し損ねた男性が橋にぶら下がっているのを助けたり、熱中症で倒れたお婆さんを担いで病院まで走ったりした。いずれも、丈夫な体だけが取り柄の私が運良く助けただけなのだが。そんな私が死んでしまったのは、小学生の女子二人が不審な中年男性にストーキングされているのを見かけたとき、二人を逃がそうとして不覚にも私が刺されてしまったからである。
はい、自分語り終了。
続きまして、とお味噌汁に浮くお麩を箸で摘もうとしたその時、
「ねぇ、今日登校日じゃないの?」
「ほ?」
「8:30までに登校の筈よ。今9:45だけど、大丈夫?」
………全然ダイジョバナイ
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