アカネ「…で、結局連れてきたわけ?…珍しいね、」
…まぁ、別にいいのだけれど。珍しいな、と思った。雨宮は家出をしているような少年少女を見かけても見ているだけで助けたりはしないはず…
雨宮「…過去を、見たんだ…」
アカネ「は?」
雨宮「あの少年の、ノイルの過去。だから、助けてあげたいと思った。」
名前、あの子に聞いてたかな。聞いてないよね、じゃあ知ってるってことはそういう能力が言ってないだけであったってことだ。
アカネ「それd「わぁぁぁぁぁぁ??!!」」
あ、え、なんかあったかな??
雨宮「…俺ちょっと行って来るわ~…あ、アカネも来いよな」
アカネ「…まぁ、いいけど…」
ノイル「はー……はー………」
悪い夢でも見たのだろうか。すごい息が荒い。
アカネ「大丈夫、?」
手を差し伸べる。
ノイル「ッあ、ご、めんなさっ」
涙目になりながら掠れた声で何度も『ごめんなさい』と繰り返す。
雨宮のときもこんな感じだったっけ。
雨宮「…流石に、まだ聞こえないよね…」
?聞こえない?…もしかして、心の声?
雨宮「…ま、いっか、ところで少年、君の名前は?」
急だな?!…あれ…さっき、知ってるって言わなかったっけ?わざわざ聞くの?まぁ好きにしてもらえばいいか‥
ノイル「え、とっ…神楽坂、ノイル、って言います…」
アカネ「へぇ…いい名前じゃないか」
いい名前だと思ったけど、うん。どうやらこの子のいたセカイでは名前はカタカナなのは珍しい、というか変な名前に当たるらしい。
ノイル「ぇ…あ、りがとう…ございます…」
キョトンとした顔で感謝を述べる。きっとこんなこと言われたことないんだろうな。
雨宮「急に聞くんだけどさ、君はなんで、あの寒い中で外にいたの?」
あ、それ聞いちゃう?確かに気になるけど。
ノイル「あ、えと…それ、は…」
言葉を濁す少年。少し間が空いてからゆっくりと口を開く。
ノイル「…僕、家にいるのがどうしようもなく辛くて、お母さんは叩いたり蹴ったりしてきて、今日も、死んじゃうくらい殴られて、それでっ」
目に涙を浮かべて話す、その声は震えていて、だんだん嗚咽が混じってくる。
雨宮「ありがとう、もう大丈夫だよ、ごめんねこんなこと聞いて…」
咄嗟に雨宮が制止をかける。
雨宮「じゃ、俺これからやることがあるから、頼んだ」
ボクに視線を向けて、そう言って静かに出ていく。
さて、どうしよう。
ノイル「……ぁ、あの、」
そんなこと思ってた矢先、少年が話し始める。
アカネ「なーに?」
ノイル「ずっと、聞きたかったんですけど…ここ、どこですか?」
…わお。そういえば一方的に話しかけてばっかりでこっちは何も言ってないな、それにしてもなんて説明したらいいのかな……
アカネ「えとー…ここはね、キミのいたセカイとは違う、すべてのセカイの境目、と言ったらいいのかな、とりあえず全部のセカイと繋がってる場所、とでも言っておこうか…」
説明って難しいね…
ノイル「ほぇ……」
あ、いまいちわかってないっぽい、まいっか
ノイル「…じゃあ、」
再びゆっくりと口を開き話し始める。
ノイル「あなたは、?」
そういえばボクのことはなにも言ってなかったっけ、
アカネ「ボクはアカネっていうんだ。雨宮とかキミとは違って苗字は持ってないよ、」
ノイル「アカネ、さん、」
アカネ「アカネ。さんは付けなくていいよ、ボクはあんまりさん付けで呼ばれるのは好きじゃないんだ。」
さん付けで呼ばれるのはなんだか姉さんのことを思い出すから、ね‥
ノイル「わかりました、うん、アカネ、ね…」
アカネ「うん、それでいいよ、ところで君…ずっと元気ないよね、」
まぁ無理もないよね…うん。なんでこんなこと言ったんだろ。
ノイル「僕………」
アカネ「ん?」
ノイル「僕、妹、残してきちゃって、あいつに限って僕みたいなことないと思うけど、心配で…」
へぇー…え、妹いたんだ…って、そこじゃないな、
アカネ「そっかぁ…それは、ね…」
こんなとこにいる場合じゃないだろう。第一飽きるだろうし。
アカネ「…外、出てみる?」
白を基調としたベッドとちっさい机しか置いてない部屋。なんか空間全部白いけど狭いし出てもいいと思うんだ、はい。
ノイル「いい、なら…」
アカネ「よし!じゃあレッツゴー外!!」
手を引いて外へ出る。
雨宮「お〜おけぇり〜〜〜〜」
アカネ「おるやん?普通におるやん??」
なんだコイツ。用があるんじゃなかったのか(?)
雨宮「んで、用なんだけど…少年になんだ☆」
ノイル「えッ」
さぁ、なんでしょう…ボクも知らないけど。
雨宮「ほい」
雨宮が鏡を取り出し、ノイルの顔をノイルに見せる。
ノイル「あ”、ゃ、やだ、みたくない、やめて、」
すっごい拒絶反応。繋いでいる手の力がだんだん強くなってくる。
泣き出したのを見てかは知らないが雨宮がすぐに鏡をしまう。
雨宮「やっぱり嫌いだよね…じゃあ俺からのプレゼントは…」
なんだろ気になる〜…
雨宮「新しい目」
アカネ「えっ」
ノイル「…ん??…え??」
訳がわからないよ。ノイルも同じような顔してる。
雨宮「さ、こっちおいで、魔法をかけてあげよう〜」
アカネ「魔法…だと…!?」
雨宮「なんその話し方〜wま、ええじゃないかおいでなさいな少年よ」
手を離れて駆け寄っていく。魔法とは何なんだ一体。
雨宮「君が一番嫌っている目、形も色も変えてあげるよ。」
さぁ、どんな色がいい?と聞く雨宮。少し考え込むノイル。
ノイル「……か」
アカネ「ん?」
ノイル「オレンジと、赤がいい」
ゆっくりと、そう告げる。
雨宮「わかった、じゃあ目を瞑ってくれるかな?」
ノイル「…ん……。」
静かに目を瞑ると同時に辺りにふわっと風が吹き、優しく発光する。
ノイルの、望んだ色に。
コメント
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うわぁマジ好きなんだがぁぁぁぁあ⤴⤴⤴⤴⤴⤴⤴⤴
なるほろ…こうして出会った… とても好きなんですが、魔法使えた事にビックリした(((おい