テラーノベル
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※モブによる暴力・ヘイト表現
「…………ケンチャナヨ」
咽ぶ私を抱き締めて、貴方は言った。
「ケンチャナヨ、菊。俺はこの通り、ちゃんと生きてるんだぜ」
傷と痣にまみれた笑顔が、私に向けられる。
朝鮮人だという理由で、彼は殴られた。
「日本」を愛する心無い輩に、殴られた。
数多の在日外国人が行き交う、新大久保で。
彼は遭遇してしまったのだ。レイシストに。
「…………菊」
大きな手が、私の濡れた頬を撫でる。
「こんな目に遭ったぐらいで、俺はお前の国を嫌いになったりしないんだぜ。あんな奴、 国民のほんの一部だろ?」
「でも…………ごめんなさい…………っっ」
「何でお前が謝るんだぜ?お前は何も悪くないのに。悪いのは、俺の国だから。俺の国が『反日無罪』なのが、悪いから」
だからこれは俺の自己責任だし、俺の自業自得なんだぜ。そう言って尚も笑う、貴方。
そんな貴方を、どうすることも出来なくて。
その痛みに、寄り添うことしか出来なくて。
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