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28 ◇哲司の来訪
「コンコン!」
「はい、どうぞ」
「おはようございます」
「あ、珠代さん、おはようございます」
「温子さん、たぶんだけど、え~っと何て言えばいいかなぁ~
元ご主人? でいいわよね、呼び方。あ、そっかあたしったらぁ~
小桜さんがお話があるっていらしてますよ」
「哲司さん? 一体今頃何かしら」
「戻って来てほしいってところじゃない?」
「珠代さんったらぁ~、私は離縁されたんですよ、夫から。
そんな話は出てこないと思うわ」
「そうかしらんっ。私の女の感、すごいんだからぁ~」
「「ふふっ」」
「わざわざ、珠代さんありがとうございます。じゃあ少し失礼して……」
「えっとね、兄さんの隣の部屋にお通ししてますから」
「はい。痛み入ります」
月曜の朝から哲司さんが私に会いに来るなんて、私にしたらそれこそ
青天の霹靂だった。
家を出てから数日の間は、もしかしたら追いかけて来てくれないだろうか
なんていう甘い期待もないわけじゃなかったけれど、今頃になって
訪ねて来るってどんな理由なのか、思わず警戒してしまうじゃないの。
もしかして、お母さんの次にお父さんが倒れたからという看護要員の要請では
ないだろうかなどと、警戒心MAXで私は応接室へ飛び込んだ。
哲司は初めて目にする看護婦の制服に身を包む温子を前に
緊張が走る。
―――― シナリオ風 ―――― おまけ ―――――――
〇工場内・看護室付近
珠代「コンコン!」
温子「はい、どうぞ」
珠代「おはようございます」
温子「あ、珠代さん。おはよう」
珠代(茶目っ気たっぷりに)
「えーっと、たぶん、元ご主人……でいいわよね? 小桜さんが来てますよ」
温子(驚き)「哲司さん? 今さら何かしら……」
珠代「戻ってきてほしいとか言うんじゃない?」
温子(苦笑しながら)「ないない。私は夫から離縁された身よ。
そんな展開あるわけないわ」
珠代「ふふっ、でも女の勘ってやつは侮れないのよ~」
温子「ありがとう、珠代さん。じゃあ少し行ってくるわ」
珠代「兄さんの隣の応接室にお通ししてるわ」
温子「はい。ご親切に、ありがとう」
〇応接室前/温子の心情]
温子(心の声)
「月曜の朝から哲司さんが……? 青天の霹靂だわ」
「家を出て数日間、ほんの少しだけ“もしかして”と思った時期もあったけど……」
「今さら何を話しに? 今度はお父さんの体調が良くないとか?……いや、まさかね……」
警戒を強めながらも応接室の扉を開ける温子
〇応接室・再会の瞬間
扉が開き、看護婦姿の温子が入室。
哲司、初めて見る姿に戸惑いと緊張
哲司(立ち上がり)「……温子……さん」
温子はしばしの間、無言で哲司を見つめる
温子(心の声/不信感でいっぱい)
「今頃になって……何を言いに来たのかしら?」