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黒星
21
#シリアス
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「えっ、今更そんな健康志向……?無理だろ」
「でもさ、晃だって本当は身体のこと気にしてんでしょ? 肝臓の数値とかさ。俺も33だし、真面目に生きたいんだよね」
「禁煙1日しかできなかった奴がよく言えたな」
「それは過去の話!今日から生まれ変わるって決めたんだよ」
まあ、俺自身もアルコール依存症の兆候があることは自覚していた。
毎晩、冷蔵庫を開けるたびにビール缶が減っていくスピードに密かに戦慄しているのは事実だ。
「言うてな、お前も俺も、結局は〝寂しい〟って理由で酒やタバコに依存してんだろ?そんな根深いもん、どうやって断ち切るってんだよ」
「それなんだけど」
颯太はタバコを机に置き、妖艶とも言える現役時代のカリスマホストの笑みを浮かべた。
「お互い欲求不満っていうか、その口寂しさと孤独を埋めたいならさ……セックスしたらいいんじゃないかなぁって」
「誰と誰が?」
「え?俺とあきらで」
「……っ、は…?」
あまりに突拍子もない、衝撃的な一言に
俺の脳内の思考回路は一瞬でショートし、完全にフリーズした。
耳に入ってきた日本語の意味が理解できない。
「いやいやいやいや!ちょっと待て!!文脈おかしすぎ」
「え?おかしくなくない?性的欲求とか、スキンシップの脳内麻薬で脳を満足させれば、代わりに酒やら煙草に走る頻度も激減すると思わない?」
「いやいや!そもそも俺たち男同士だし!!」
「別に男同士でも、セックスくらい割り切って楽しめると思うよ?なんなら最初から最後までしなくても、お互い抜き合うだけでもいいし。俺、ぶっちゃけ経験あるしね」
「お前いつの間にそんな経験を!?」
颯太は悪戯っぽく微笑みながら、軽く肩をすくめた。
「昔、ゲイ専門のホストクラブで体験入店っていうか、ちょっと働いてたときがあってさ」
「そのときにお客さんに誘われて、一度試してみただけ。案外面白かったっていうか──意外と気持ち良かったんだよね、これが」
「それ聞いたら余計に混乱するわ!!」
「とにかくさ、俺とあきらはホスト時代からの良いコンビだし、相性もいいと思うんだよね。してみて本当に無理だったらすぐ辞めるからさ、1回、試しにヤってみない?」
トントン拍子に話を進めようとする颯太に
俺はパニックになりながら、脳内で必死にそのシチュエーションを想像しようとした。
「いや、そもそもヤり方とか全くわかんねぇんだけど…えっと、お前のその、アナルに俺のちんこを挿れるってこと……?」
「?」
颯太は不思議そうに小首を傾げた。
「いや……挿れられるのはあきらの方だよ?」