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そりゃ私を癒してくれない相手には癒すことなんてしないし。
ハァ。
あいつは女は疲れた、とか言いながらもまだ不倫を続けるのね、本当アホな男。バカアホモラハラ最低男!
また探偵雇わないと。もっともっと追い詰めないと! だからもっともっと……お金を……。お金を稼がなくてはいけない。探偵ってすっごくお金がかかるのよ。
ああ、誠也には探偵になってもらった方が良かったかしら。昔からこの子は勘が鋭くて探偵ものの漫画もすぐ推理して犯人を言い当ててしまうし……。
すると誠也が私の左手を握る。とても暖かい、この手。柔らかい。
「姉さん、もうこれ以上はやめましょうよ。もう十分。お姉さんまで不倫女たちと同レベルになっていいの? 性格悪くなっていく姉さんをもう見たくないよ」
「……誠也……」
目には涙が浮かんでいる。ごめんね、ごめん。
そんな顔をしないで、誠也。私が悪いわね。
でもねわかってる、わかってる……でも私にはこうするしかないのよ。ごめんなさい、本当に。
私も手が震える。それを優しく握ってくれるのは誠也だけ。ああ、本当にもう彼しか私は愛せない。弟なんだけど、弟以上の絆で結ばれているのよ、私たちは。
もうこれだけで十分? 十分なんだろうか。
……わかった。わかったわよ。
これで裁判に持ち込んで私はようやく離婚して自由になれる。どうかわからないけどさ。
倫太郎はどっちについていくかわからないけど……もし親権を取られてしまっても誠也がいれば私は大丈夫。そうよね……。
それにしてもこんな優しくて純真な誠也、他の女には渡したくない。あともう少しだから、もう少し……。
私も誠也の手を握ると彼も優しく握り返してくれた。この手は離したくはない。
誠也、あなたもそう思って私の手を握っているのかしら??
私は誠也の瞳をじっと見つめた。そらすことはなかった。