夕ご飯を食べて、洗い物を二人で行う。
片づけも私にさせてほしいと言ったが、彼が手伝いますの一点張りだった。
蓮さんはクールなイメージだったが、一緒の時間を過ごしていくうちに少しずつわかってきたことがある。
優しいけれど、彼は譲れないところは譲ってはくれない。
それは私のことを想ってくれてのこと。
こんなに大切にされたことがないため、どういう反応をしていいのかわからない。
「愛、先にシャワーどうぞ?」
ぼんやりしていたら、彼がバスタオルを持ってきてくれた。
「蓮さんが先に……」
「レディーファーストです」
彼に押し切られ、先に入ることにした。
シャワーから戻って来ると、彼は再びパソコンに向かっていた。
私が出てきたことに気づきパソコンを閉じる。
「俺もシャワー行ってきますね。眠たかったら、先に寝ててください」
そうだ、今日はどうやって寝るのだろう。
この前は付き合っていなかったのもあり、彼はリビングのソファで寝てくれた。
今日は正式に付き合っているわけだし、一緒に寝るのが普通なのかな。
自分の荷物を準備している時は、そんなことも考えて準備をしてきたはずだったのに、いざとなるとなんだか緊張をしてしまう。
「わかりました」
蓮さんより早く寝るつもりはなかったが、そう答えた。
私がシャワーを浴びている時に枕を準備してくれたのか、広いベッドの上に枕が二つになっていた。ドキドキしながらベッドに腰掛ける。
スマホを見ながら彼が出てくるのを待っていた。
しばらくしてガチャっとドアが開き、髪の毛が少し濡れている蓮さんが部屋に入って来た。
部屋着の蓮さんもカッコいい、そんなことを考えながら彼を見つめてしまった。
私の隣に彼が座り
「今日は疲れましたよね。もう休みましょうか?」
声をかけてくれた。
「はい」
布団の中に入る。電気が消される。
「今日は楽しかったですか?」
暗闇の中、声をかけられた。
「はい、とっても楽しかったです。ありがとうございました」
「それは良かったです。また行きましょうね」
ベットが広かったため密着するほどの距離ではないが、隣にいる彼の体温が感じられた。
電気が点いていないため、彼の顔が見えない。
彼が近くにいると安心する。
しかし同時に心臓の鼓動も速くなっていた。
思わず耐え切れなくなって
「蓮さん、ドキドキします」
そんな言葉を発してしまった。
私、何を言ってるんだろ。
「俺もドキドキしてます」
「えっ?」
思ってもみない彼の言動。
なんだ、彼も一緒なんだ。
そう思ったら心が軽くなった。
隣にいる彼に近づく。
「愛……?」
私は彼の頬を触る。
そこに彼の頬があるのを確かめ、キスをした。
頬に、それも暗かったせいか、自分からキスをしても恥ずかしくなかった。
「おやすみなさい」
そう言って彼から離れようとした。
「ダメです」
彼が私を布団の中で抱きしめる。
シャンプーの良い香りがした。
そして彼は私の耳元で
「昼間の続きをしましょうか?」
そう囁いた。
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