お尻を上げておねだりポーズをかましたあの日から、再度撮影をする事となった。どうやら表情が硬く、撮り直しをしたいとの事と、水着を変えての撮影らしい。待合室と化した1階の広い居間で、スマホを愛でる。
居間には同じく午後の撮影を言い渡された居残り組が、10人程待機していた。多分この子達も撮り直し組なのだろう。壁に掛けられた巨大なフラットパネルディスプレイには、地下1階で行われている撮影状況が映し出されている。
―――おねだりポーズが丸見えだ……
『いいよぉ、いいよぉ、あぁすっごい! あぁすっごいよ』
ガングロ変態カメラマンがAV男優ばりに声を上げてる。大丈夫なのかアレ…… お前が一番凄いよ。
女の子達は口々にヒソヒソと耳を汚す……
「あの子、身体硬すぎじゃない? 見てあのポーズ」
「本当だ。柴犬みたい、ウケるんだけど」
その他、筋肉凄いとか立派な肩幅だよねとか、恐ろしい値踏み審査が行われていた。女の園は恐ろしい……
すると一人の女の子が話しかけて来た。
「いちかちゃんですよね? 今日は宜しくお願いしますね」
―――⁉
びっくりする程の美少女が、私の前に突然現れ、突然話しかけて来た。然《しか》も何でピンポイントに私の源氏名知ってるの?
ざわつく胸の高鳴りを抑えようと記憶を辿る。若しも同じテーブルで仕事をした事のある先輩で有れば失礼に当たる。其れ所か睨《にら》まれでもしたら敵を増やしてしまう事になる。此処は慎重に探らなければならない……
「あっ、あのぅどちらかのお席でご一緒させて頂きましたか? 」
「うふふ、お話するのは今日が初めてよ。私はいちかちゃんをずっと見ていたけれど」
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