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いつもとは硬い感触に目を覚ました。
「……」
知らない天井。…否、見覚えのある天井だった。
どこだっけ、ここ……。
重い体を持ち上げ、起き上がった。周りを見渡してみるも辺りが暗く、はっきりとはわからない。
なんや…?
ぱちくりと数回、瞬きを繰り返した。
電気どこやったっけ…。
手探りで慎重に歩みを進める。瞬間、足元でかちりと音が鳴った。
「っ…!!ま、まぶ、しっ…」
唐突の明かりに瞳の奥が悲鳴をあげる。徐々に慣れ始めた目をゆっくりとこじ開けた。
…。…あぁ、せや、ここって確か、『本拠点』の場所や。
「…は?」
すんなりと情報が入ってくるものの、思考が理解に追いついていない。
夢、か?ここって、マイクラの世界、だよな…。
どこもかしこも見覚えのる『アイテム』だらけである。
中身は…。見れるんや…。
「うわ、中きたなっ…」
皆が乱雑に入れていたせいか、中身がごちゃ混ぜになっていた。見るに堪えない状態だ。
っ……。
ふぅ、とりあえずこんなもんやろ。……って、こんなことしてる場合ちゃう!!早くここから出る方法を探さなっ…。
ふと、窓の外を見ると日が昇っていることに気がつく。
「朝か…。はぁ…、結局、目が覚めなかったな…」
これは何かの悪い夢で、そのうちいつものベッドの上にいる予定だった。しかし、
「はぁぁぁあ”ぁぁ…」
深いため息をつき、頭を抱える。どうにかして、一刻も早くここから出る方法を探し出さなければ。なぜならこの後、仲間たちと『ここ』にくるはずだったのだ。
どうすっかなぁ…。太陽の位置を見るに、もうそろ9時を回る頃やな。…絶対時間に間に合わんやろなぁ……。
途方に暮れ、天井を仰いだ。そのとき、微かに遠くの方から話し声が聞こえてきた。バタバタと慌ただしく扉を開け放ち、辺りを見渡す。しかし、そこには誰の姿もない。
……?
「あいつらの声だったんや……」
誰に言うわけでもなく、ただボソリとつぶやいた。孤独感と虚無感が彼を包んだ。…そのとき、
『shoppi_wrwrd が Realm にやってきました』
「は…」
目の前に突如として現れた人物は、確かに彼が見知った顔だった。しかし、ひとつ違うこととすれば、その全身がドット絵であること。
しばらく2人は見つめ合い、
『shoppi_wrwrd が Realm を去りました』
「あ」
『shoppi_wrwrd が Realm にやってきました』
「……」
「…」
「……。…あんたここで何してんスか!!」
「…。…しょっ、ショッピ君や……」
「は?ちょ、な、なに…。怖いんやけど……」
この世界には自分だけしか居ないのだと、絶望に打ちひしがれていた心が、ショッピと呼ばれた男のひと言だけで救われた気がした。