「彼が私を誘った理由」
駅舎を出て、私たちは人波に押されるようにして動物園のほうへ歩き出した。
「どこへ行くんですか?」
動物園はもう閉園しているし、この先にはレストランも、もちろんホテルだってない。
尋ねると、彼は広い歩道の端を指差した。
「美術館へ行こうと思って。君は今やっている展示がなにか知ってる?」
「えっ」
たしかにこの並びには動物園のほかに美術館や博物館もある。
だけどまさか、彼の目的地がそこだなんて思わなかった。
「あっ、はい。知ってますけど……」
「やっぱり知ってたんだ」
学生の頃から時々足を運ぶ程度には美術館が好きで、電車内の広告などで見かけるとつい見る習慣があるので知っていた。
「美術館、お好きなんですか?」
「好きか嫌いかで聞かれると好きなほうだけど、俺より君が好きかと思って」
(え……?)
どういうことだろう、と思いつつも彼の表情は穏や******************
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