テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
つかであきひろ
728
#探偵
橘靖竜
5,324
#闇バイト
るしゅ
616
ロボットの王
2,541
話し声と数人の階段の登る音が聞こえ、沙織は顔を上げた。
ピンポーン。
チャイムが鳴り、沙織は静かに駆け寄る。
覗き穴から視線を飛ばすと見知った顔があった。
急いで鍵を開けドアを開けた。
「美咲さん!森山くん、三崎さんまで」
つい最近まで働いていた三崎も一緒にいた。ミサキの旦那で今は広告代理店に勤めている。
「久しぶりだね~。今日は俺、運転手兼用心棒ね」
「三崎さん、キックボクシングに通ってるんだって。強い男ってやっぱ憧れますよねー」
「私に暴力振るわれるのが嫌だったのよ」
「みさちゃんのパンチやキックはもはや凶器。自衛だよ、致し方ない」
いつもの空気とやりとりで強ばっていた空気と肩が楽になるのを沙織は確かに感じた。
室内に入ると3人共それぞれに部屋を見渡す。
「沙織さーん、これ、差し入れっす」
見覚えのあるカップに慣れ親しんだ香りがする。
「お店に寄ってきたの?」
コーヒーを受け取る。温かい。
「ミサキさんが豆ウチの購入していて、カップは私物っす。もちろん、未使用品なんで~」
にこにこと笑いながら三崎は詩音の食卓の椅子を引く。
「情報のすり合わせと、時間かかるかもだしゆっくり待たせてもらおう。俺達は詩音ちゃんの家の警護兼待機組ってことで」
PCの前に沙織、隣に翔。向かいに三崎とミサキが座った。
コーヒーの香りと湯気が4人を包んでいた。
口火を切ったのは翔だった。
指輪の刺青の入った指が音もなくテーブルをノックする。
「店長と商品開発と発注の最終確認に店にいたらミサキさんから電話があったんだ。詩音さんと連絡つかないって。俺は店が休みに入ってから詩音さんと連絡とってなかったけど、店長がすぐに詩音さんの家族と警察に連絡いれてた。只事じゃないなにかがあったんだって思った。そしたらすぐに一回家帰れって言われてモヤモヤしてたんだ」
いつもより声のトーンを下げ、翔の報告をする。
頷き1つミサキがし、続きを引き継ぐ。
「共有チャット使ってたから翔も知ってると思うけど、私と沙織、詩音と夢ちゃん風ちゃんの4人で飲みに行く予定だったのよ。でも、時間になっても詩音は来なくて、詩音のメッセージも今日はされてないのも余計に不安になったの。だから、私は2人を家に送った後に沙織の後を追ってここに来ようかと思ったんだけど、悠真が行ったって店長から聞いて、すぐ行動できるように待ってたわ」
足にコイツ使ってね。
と、三崎を親指でグーの形で指を指す。
目線は翔から外さない。
三崎はにこりと笑む。
「私は、大月さんの部屋のチャイム鳴らしたけど、誰も出なくて、鍵もしまってたから、下の郵便受けを駄目元で開けた 」
「なんで?」
翔が首を傾げる。
「西山くんが、ポストに合鍵入れていたことがあって、、。店長も鍵を観葉植物の下に置いてるし」
ああ。
と、一同納得の頷きをする。
「あれ?店長は知ってますけど、ゆーまさんも?」
「元カノの時よ」
ミサキさんが答える。
「それで」
脱線しそうな2人を強制に戻すように、苦笑いを浮かべながら、少し声を張り上げ三崎が沙織に続きを促す。
ミサキと翔は開けた口を急いで閉じた。
「店長が合鍵を持っていてくれたから、西山くんが鍵を貰ってきてくれて、、」
そして、部屋に入ってからの事を同じように説明をした。
それぞれが、メモを手に取り怪訝な顔をしていたり、部屋を見渡したりしている。
店長の命令と焦り加減。
悠真の店長に送ったメッセージ。
進展したことは想像できるが、形の見えない不安に沈黙と時間だけが流れていった。
コーヒーは冷めきってしまっていた。
,
コメント
1件
読み終えました。沙織さんのもとに仲間たちが集まって、それぞれが持っている情報を共有する場面、いいですね。コーヒーの差し入れや「キックボクシング」のやり取りで、緊迫した状況でも彼らなりの空気感が保たれているのが、関係性の深さを感じさせます。詩音ちゃんの不在と「店長の命令と焦り加減」がこれからどう繋がるのか、続きが気になります。