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あらすじ必読
俺の家は他の人と違うかった
友達にはお母さんやお父さんがいる
でも、俺の家にはいなかった
家事をしたり、俺の保護者役をしてるのは
お兄ちゃんだった
小学生の頃はそれが当たり前だと思ってた
でも、中学生になると違うってことに気づいて
人と違うくて目立つのが嫌だった俺は
必死にその事実を隠そうとした
でも、そう簡単には隠せなかった
【くにの家は、親がいない】
どこからか、噂がたった
親はいるって否定したこともある
でも、「なら、家行ってもいいんだな?」
そう言われたら否定しても意味なかった
『旅行にいってるんだ〜…』
なんて、苦しい言い訳ももう無理だ
いつしか、俺の噂は
真実とは異なることが追加されて
もっと悪い噂となって広まっていた
【くには愛されなかったから捨てられた 】
とか、色々なものが付け加えられていた
『違う』なんて否定は
広まった学校中の人には届かないし
信じてもらえなかった
もう学校に行きたくない
そう思い行かなくなった
そのことはお兄ちゃんには言ってない
いつも通り家を出てサボるから
きっと、学校から連絡がありバレているだろう
でも、お兄ちゃんは何も言わない
その優しさが俺は嫌いだった
そして、学校に行かなくなってから数日後
俺は深夜1時まで家に帰らない日があった
別に何かをしてたわけじゃない
ただ…少し遠くに行ってただけ
家に帰ると
泣いているお兄ちゃんが玄関に立っていた
初めてみたお兄ちゃんの泣き顔
俺は罪悪感を少しだけ覚えた
そんなことを思っていると
パチンッ
という音と共に頬がヒリヒリと痛くなった
『えッ?』
戸惑いの声が漏れた
だって、お兄ちゃんが叩くとは思わなかったから
「こんな時間まで何をしてたの?」
いつもより低い声で俺に問う
でも、俺は叩かれる理由がわからなくて
もう中学生なんだし好きにさせてとか
俺の噂知らないくせにとか
色んな感情が入り混じって
『なんでもいいじゃん』
なんて、返した
「なにッ…なんでもいいってッ!!
俺はこんなに心配したんだよ!?」
初めて聴いたお兄ちゃんの声
でも、俺は心配されてるとは思えなかった
ただお兄ちゃんが、自分の評価を下げられたくはないからではないのか?
なんて、変な考えを持ってしまって
『何心配ってッ?どうでもいいし、好きにさせてよ 』
「なにそれッ…」
なんて小さく呟くお兄ちゃんを通り越して
部屋に戻ろうとした
そしたら、
「 」
とお兄ちゃんが言う
俺は聞こえてないふりをしつつ心の中で
(わかるわけないじゃん)
と返事をして部屋に戻る
次の日
朝起き、リビングへと降りる
昨日喧嘩したお兄ちゃんと顔を合わせるのは気まずいなぁ
なんて思いながらリビングの扉を開けた
が、お兄ちゃんの姿はなかった
(珍しい)
なんて思いながら適当に朝ごはんを食べようとキッチンへと向かう
キッチンには、置き手紙と朝ごはんが並んでいた
喧嘩したのになんで…
なんて思いながらレンジで温め
置き手紙を読む
「昨日はカッとなって叩いてごめん
朝ごはんレンジで温めて食べて
嫌なら置いといて
夜中まで遊んじゃダメとはいはないから一通連絡ほしいな
心配だからさ
お兄ちゃん出かけてくるから
家ですごすなり好きにしていいよ」
とかいてある
不登校なことを遠回しに認めてるという書き方
目に見える優しさが
痛かった
数時間後
家で勉強をしたり、好きなことをして数時間後
一通の電話がきた
『もしもし?』
とでると、電話の声の主は
「あ、もしもし」
と、可愛いふわふわとした声で返事をする
『えっと…』
「あ、こったんの家で合ってるかな?」
こったん…あぁ、お兄ちゃんか
とお兄ちゃんのあまり聞かないのて少し迷いながらも理解する
『はい、そうです』
「よかった!
如月ゆうです、こったんと同じところで働いてます」
『そっと、そのゆうさんが何のようですか…?』
「…今出れるかな?Starlight病院に来てほしくて」
『いま…出れますけど、なんで病院に』
「…いいから、病室は323号室ね 」
『え、あ、ちょ…』
少し強引に言われ、電話を切られた
迷いながらも準備をする
お兄ちゃんと喧嘩したのに行く必要あるのかな
なんて思ってしまう自分は最低だろうか
病室前
受付を済ませ今病室前にいる
どうしてもこの扉を開けれない
どういう風に顔を合わせればいいのか
謝らなければならないのか
などいろいろ考えて
扉の戸を掴んでいる手は小刻みに震える
かれこれ10分ぐらいこの状態だ
周りから見たら相当怪しいやつだろう
そんなことを思っていると
ガラッ
と扉が空いた
「あ、君が弟くんかな?」
電話の声と同じような声の人が喋る
見つかった…か
なんて思いながら
『はい、そうです』
と返事をする
目線を前に向けると
病室のベットに寝転がっているお兄ちゃんの姿が目に入った
疑問に思いながら近寄ってみる
寝てる…だけ?
と思ったが、頭に巻いてある包帯を見て少し焦った
『なんで…』
と疑問に思ったことを口に出す
そしたら、ゆうさんが
「寝不足だって 」
『え?』
「寝不足で階段で踏み外してさ…w」
なんで寝不足なんかに…
と思って思い返すと自分のした行動が引っかかる
いつも眠りにつく深夜1時に帰ってきた自分
それを待ってくれていたお兄ちゃん
そのせいで寝不足になったのだろうか
「こったんはねぇ、弟くんのことすっごい大切にしてるんだよ」
『え?』
「前にね、[ くにおが学校に行ってないって連絡きたんだよね、隠してるってことは聞かないほうがいいよね]とか相談されて 」
…悩んでたんだ
「他にも、いろいろ相談されたよ」
『ほか、にも?』
「うん印象に残ってるのは…あれかな」
『なんですか?』
「自分が親代わりでイジメられてないかなっていう相談」
『ッ…』
わかってるならッ…なんで
と思う感情は我ながら酷いと思う
わかってても、親に会わせられるかは別だから
そう、自分でわかってても
あんなにひどい噂させて学校にいけなくなったんだから
その可能性を理解してたなら
対処して欲しかった
なんて無理な考えが湧いてくる
「あと、今日相談された喧嘩の件かな」
「好きにさせてあげたいけど、心配ってずっと言ってた」
『……』
そんなことを言うゆうさんの言葉を聞きながら
おれはお兄ちゃんの顔を見る
昨日は暗くて見えなかった顔がしっかりと見える
隈があり、痩せている体
お兄ちゃん1人で俺を養うのは大変だったのだろう
家事も手伝わず、学校にも行かず、夜遊びする弟
こんなのが弟なら
俺がお兄ちゃんの立場だったら絶対に逃げてた
仕事も頑張ってくれてたんだ
思い返すと俺はあまり不自由をしていなかった
ご飯はいつも作ってくれて
誕生日やクリスマスはプレゼントをくれる
何かしたいことがあれば、やらせてくれる
月にお小遣いをくれる
俺に不自由させないぐらい頑張ってくれていた
そう思うと、昨日やってしまった自分の行動がものすごく恥ずかしかった
「ゆうさん帰るね
弟くん、あとは任せたよ」
『はい』
ゆうさんは帰っていった
それと同時に俺はお兄ちゃんの手を握り
『ごめんッ…』
と謝る
冷たいようなあったかいような…
なんとも言えないお兄ちゃんの手は
いつも俺を撫でてくれた手で
懐かしさを感じた
シーツに落ちる水
いつのまにか俺は泣いてる
これからはお兄ちゃんが楽できるように頑張ろうとこの時心に誓った
「ん…ぁ、れ、くにお?」
『お兄ちゃんッ!』
「なんで泣いてるの!?」
『んーん、なんでもない』
「え、でも」
『なんでもないから!』
強引にお兄ちゃんに何もないという
少し困惑したお兄ちゃんの顔
『…w 』
失礼だけど少し面白かった
『ごめん』
昨日のことや今までのことを謝る
きっと、お兄ちゃんは昨日のことだけだと思ってるだろうな
「いいよ、俺もごめん」
『いいよ』
この日は面会が終わり俺は帰った
1日だけ入院となったお兄ちゃんも
明日頭の検査をして何もなければ帰ってこれる
「大丈夫でしょ」
と軽々しくいうお兄ちゃん
大丈夫ならいいんだけどね
次の日
お兄ちゃんは帰ってこれるらしい
連絡が来て俺は安心した
そして、お小遣いで買った材料で料理をする
びっくりするだろうなぁ
よろこんでくれるかな?
と期待を胸に抱いてお兄ちゃんの帰りを待つ
「たっだいま〜!」
と元気な声が玄関から聞こえる
俺がお兄ちゃんに
『おかえり! 』
というのは初めてで、こんな気持ちで出迎えてくれてるんだとはじめて知った
この気持ちも悪くないなと思いながら
「あれ、何この匂い」
『ふふん、リビングきて!』
少しびっくりした顔のお兄ちゃん
リビングにつくと
「え、作ってくれたの?✨️」
見るからに目を輝かせている
『うん!食べて食べて』
「う、うん…
あ、材料費…」
『いいの、いつもありがと
これからは俺が作るから』
「え?」
今日はびっくりしぱなしなお兄ちゃん
『まぁまぁ、食べて』
「うん、いただきます」
一口お兄ちゃんが食べる
「ん!んま✨️」
美味しそうに食べてくれるのがうれしかった
『よかった!w』
「急にどうしたの? 」
『昨日お兄ちゃんが倒れて、今までの事反省したんだ』
「…そっか、別にいいんだけどね」
『俺、学校は行ける気がしないんだ… 』
「うん」
『だから、行きたくない
でも、そのかわり家事をする!
学校行かなくてもいいかな』
よくないってことは分かってても行きたくないという気持ちはどうしてもあ った
「いいよw
良くなかったら、サボりだした頃から言ってるって」
『…ありがと!』
お兄ちゃんの優しさが嫌いだった俺は
反省してからこの優しさが温かいなと思えた
これからは、頑張って俺が支えるね
顔も知らない親よりも
俺のことを大切にしてくれたお兄ちゃんがいればいいや…!
ありがとう、お兄ちゃん