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アレン「卑怯かもしれないッスけど、こっちも遠距離でやらせて貰うッスからね。」
チェイス「ふっ、この私に遠距離で勝とうと言うのか。おもしろい。」
腹立つッスね、本当。
アレン「えいっ!」
わざとらしい声はあいつに、投げた七つのダガーは天井に、多分深く刺さった。
天井からパラパラと土が落ちてくる。
チェイス「何処に当てているそんなのじゃ、一発も当てられないぞ。」
思わず、呆れた目つきであいつを見た。
アレン「えっ、だって、あんたに当たるって一言も言ってないッスよ。」
チェイス「何も言っているかサッパリだ。仮にも上には何も…」
一瞬、目を手で覆いながら、そう言い放ち、上を見上げた。
しかしそれは、時既に遅し、と。
それは激しい音を立てて落ちてきた。
だって、ほら、頭の上から降ってくるのは、天井から鋭く尖った無数の岩。
アレン「入ってきた時、入口の看板見なかったんスか?」
チェイス「ちっ、面倒なことを。『シールド タートル(掩護する亀の甲羅)』!」
ちぇ、駄目か。
チェイス「『スネイク スパイラル!(三匹の噛みつく毒牙)』。」
うわぁ、目からの情報が少ないから、と面倒なのを出してきた。
毒蛇か?
チェイス「『シェイクアップ クアッドホーン(振り上げるは牛と犀)』。」
また周り囲ったッスよ。
チェイス「『ラージリザード ポイズン(大蜥蜴の猛毒)』。」
なんかデカいトカゲ?
まるでドラゴン。
てか、本当に毒とかいい性格してるッスね。
チェイス「『フライング ホーク(飛び立つは鷹)』。」
空もいけるのか。
けど、あんたは土埃で何も見えない。
このまま峰打ちで…いける。
亀の甲羅の上に乗る。
意外にも安定性あるな。
安定性◎ッスね。
いい何かの選手になりますよ、この亀。
亀が消える。
後は気絶を!
彼の喉元にナイフを突きつけた。
チェイス「くっ!しまった。」
周りの動物はピクリとも動かない。
主人の命の危機を察するとは、中々空気が読めますね、主人と違って。
アレン「あんたもしかして近距離戦、苦手なんじゃないッスか?」
チェイス「うっ。」
アレン「だから、わざと近くに寄らせようとした、そうじゃないッスか?こいつは遠距離が苦手と思わせて、自分の掌で踊らそうとしようとした、って感じッスかね。」
チェイス「くっ、そうだ。」
後ろから鷹が飛んできた気がする。
アレン「よっ、と。」
奴の背後に周り、ナイフは喉元に近づけたままにしておく。
あいつが腕を差し出すと、鷹は腕に止まった。
アレン「いい性格してるッスね。」
チェイス「いや、これは私が命令しているわけではない。」
アレン「というと?」
チェイス「こいつらがしたくてしてるんだ、私を守ろうとな。」
アレン「成程ッスね。」
チェイス「これは私の負けだ、焼くなり煮るなり好きにしろ。」
アレン「いや別に、焼いても煮てもこっちにメリットないんスよね。」
チェイス「そうか。」
俺はあいつの喉元からナイフを避ける。
彼からはもう、殺意を感じない。
アレン「金品を盗むとは言ったッスけど、どっちかといえば知りたいことがあるッス。」
チェイス「何だ。」
アレン「あんたら?何スかね、わかんないですけど。誰かに頼まれたのは分かるんスけど、誰に?」
チェイス「名前も知らない、雇い主も分からない。ただそいつの僕が来ただけだ。」
アレン「成程ッスね。それにしても動物って、技名言わなくても出るんスね。」
チェイス「あぁ、皆私が助けた。」
アレン「それぐらい愛されてるんスね。」
チェイス「そうなのか?」
アレン「きっとそうッスよ、俺なら大事な人傷つけたくないッスもん。」
チェイス「そうか。」
アレン「あっ、後もう一つ。」
チェイス「ん?何だ。」
アレン「ノアクリスタルって物、知ってるッスか?えっと、チェイス、さん?」
チェイス「あぁ、合っている。で、ノアクリスタル?ってのはここにはないと思う。」
アレン「何故?」
チェイス「先が無いからだ。つまり、ここで行き止まりだ。」
アレン「そうなんスね。」
チェイス「そろそろ戻った方がいいんじゃ無いか?お仲間が心配しているだろ。」
アレン「それもそうッスね、じゃ、また。いつか会いましょうね〜。」
チェイス「その時はまた、手合わせを願いたいな。それに備えて強くなっておくよ。」
アレン「約束ッスよ〜。」
最後に大きく手を振り、その場を去った。
最初は、何だこいつ。腹立つな、と思っていたッスが意外といい人だったッスね、えっと、チョイス、さん?でしたっけ。
チェイスか?
こんなことを考えながら元の空洞に向かった。