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ジムの自動扉が開くと、ひんやりとクーラーの涼しい風が心地よかった
チラリと横目でブラックが見ると、彼女は目を大きく見開き、騒々しくて活気づいているジム内を見渡した
週末の午後のこの時間ジム内は活気づいていた
リングの片側では、十人ほどの女性グループが、ユズの兄の健司を講師で、護身術のレッスンに励んでいた
甲高い声で、汗まみれの女性陣が拳を突き出して「ヤァー!」と叫んでいる
一方で反対側では子供が15人ほど、このジムの講師ユズのもう一人の兄キ怜王(レオ)の前に集まっていた
子供たちがレオに駆け寄って飛びつき、大はしゃぎをしていた、小学生の子供たちは元気いっぱいでなんとも可愛い
講師のレオはプロの格闘家でもあり、ユズよりも階級は上だ
子供達に軽く技をかけてリングに倒し、くすぐったり突いたりしている、ゲラゲラ笑う子供たちは、楽しそうにリングに転がった
誤解されることはよくあるのだが、格闘家は大半がまぬけな乱暴者ではない
なかでもSBCEに所属する格闘家は、強さと品位が求められる、そして地域の社会貢献だ、そんな所も彼女に理解してほしかった
「アイツらにこのビラを渡してくるからここで待ってて」
「え?ええ・・・ 」
そう言うと、ブラックはその隣のゾーンで激しく打ち合っている巨漢の格闘家にビラを渡しに行った
「よぉ!ブラック!なんだこりゃ? 」
同じジムで階級を上げようとトレーニングをしている格闘家仲間は、ビラを手にして顔をしかめた
「しっ!黙ってこれを後でゴミ箱に捨てといて!」
「なんでトレーニング中にゴミを渡すんだ?」
怪訝な顔をしているメンバー達と、講師の健司とレオにも同じように、ビラをふんだくってきたから後で事務所のゴミ箱に捨てておいてくれと言った、そして鼻歌を歌って麗奈の元に帰ってきた
「全部なくなったわよ!レッスンを受けている人には帰りに全員渡すって」
「・・・あ・・・ありがとう・・」
見た所彼女は嫌悪感を抱くというよりは、魅了されているといったかんじだ