テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
前話は、
幻想郷リフレイン〜忘れられた約束〜
をご覧下さい。
博麗神社。
空気が、重い。
霊夢は境内に立ち、空を見上げていた。
「地下に“記録庫…..ね」
その背後の空間が裂ける
スキマから現れたのは、八雲紫。
扇子で口元を隠しながら、静かに言う。
「ええ。私も感知したわ」
霊夢が振り返る。
「知ってるの?」
紫は珍しく、少しだけ目を伏せた。
「“本来は存在しない場所”よ。幻想郷が成立する 以前の、概念の残象」
そこへ、もう一つの影。
竹林から歩いてくる永琳。
「つまり、世界が世界になる前の“記録領域”。触 れてはいけない層ね」
霊夢が眉をひそめる。
「で、誰が触ったのよ」
紫の目が細まる。
「….. 心を閉じた妖怪」
–地霊殿。
暗い廊下。
無意識の主が、静かに立っていた。
古明地こいし。
彼女は、にこりと笑う。
「ねえ」
誰もいない空間に話しかける。
「あなた、名前が消えちゃうんだって?」
その背後。
白い輪郭の少女が、うっすらと立っている。
声はない。
だが、感情だけが流れ込む。
“怖い”
こいしは首を傾げる。
「怖いの?でもね」
とん、と胸を叩く。
「ここに入れば、消えないよ」
彼女の能力ーー無意識。
意識から外れたものは、忘れられない。 白い少女が、こいしに触れようとする。
だが、その瞬間。
空間が歪む。
妹紅たちが、旧地獄へと降り立つ。
岩肌の奥に、あの文字。
【記録庫】
魔理沙が呟く。
「マジであるのかよ…..」
咲夜が静かに言う。
「嫌な予感しかしないわね」
妹紅の炎が強く燃える。
そのとき。
背後から、軽い声。
「こんにちは」
振り向くと、こいしが、座っ ている。
いつの間にか。
魔理沙が一瞬遅れて反応する。
「うわっ!? いつからいた!」
こいしは笑う。
24
「ずっといたよ?」
妹紅の瞳が揺れる。
その背後に、“あの少女”が見える。
「….. お前」
こいしはくるくる回る。
「この子、消えちゃうんだって。かわいそうだよ ね」
咲夜が低く言う。
「あなたがやったの?」
こいしは首を振る。
「ううん。私は“見つけた”だけ」
霊夢と紫、永琳も地底に現れる。
紫が裂け目から降り立つ。
「やはり、あなたが鍵ね」
こいしは紫を見る。
「境界のお姉さん」
紫の目が鋭くなる。
「あなたは“無意識”。つまり、忘却の対極」
永琳が続ける。
「誰かが“記録庫”を操作し、存在を削っている。 だが完全に消えないのはーー」
霊夢が言う。
「こいしが、無意識で保持してるから?」
こいしはにっこり笑う。
「だって、約束したもん」
全員が止まる。
妹紅の炎が、爆ぜる。
「約束……?」
中は、白い空間。
無数の名前が、宙に浮かんでいる。
その中で、一つだけ。
文字が削れている。
半分だけ残った名前。
妹紅が膝をつく。
頭が痛む。
「思い出せ……」
魔理沙が歯を食いしばる。
「誰なんだよ!」
紫が静かに言う。
「これは、幻想郷の成前に封印された存在」
永琳が日を細める。
こいしは白い少女の手を取る。
「“忘れないで”って言われたの」
その瞬間。
記録庫の扉が、ゆっくりと開く。
中は、白い空間。
「“本来、生まれてはいけなかった存在”ね」
こいしがぽつりと言う。
「でも、生きてたよ?」
その瞬間。
白い少女が、はっきりと輪郭を持つ。
顔が、少し見える。
涙を浮かべている。
「助けて」
声が、初めて響いた。
同時に。
記録庫の奥から、黒い影が現れる。
低い声。
「干渉するな」
空間が軌む。
紫が扇子を開く。
「来たわね」
幻想郷の根に触れた者。
記録を削る存在。
物語は、核心へ近づく。
そして。
こいしが初めて、真顔になる。
「この子、消えたらね!
静かに。
「幻想郷、ちょっと壊れるよ?」
地下が揺れる。
記録庫の文字が、崩れ始める。
戦いが、始まる。
–続く。