テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
あぁ…どうして…
どうして…終わりはこんなにも…早く来るのだろう。
もっと…もっと…あの人と居られたら…
どんなに良いだろう…
あの夏私はあの人に恋をした。
彼を見るたび、舞い上がってしまいそうだった。
彼の顔を、声を、仕草を…全部全部……
大好きだった。
だからこそ彼を想うたび…とても…とても
苦しくて…胸が痛くて…息が詰まるようで…
辛かった。
いずれ終わりが来ると
その終わりはすぐだと…
分かっていたはずなのに…!
離れたくない…死にたくない…ココに居たい!
でもそれはもう叶わないだろう
虚ろな目で家族を見る
家族は泣いている。私の手を握って…
私はそんな家族の手を握り返した…
家族は驚いてこちらを見つめる
家族が悲しまないように…私はふっと微笑んだ。泣きながら…笑った。
家族は…母は私の手を握る力を強めた。
ガラス越しに見える太陽は、涙で滲んだ。
隣の花は綺麗に咲いている。
あの人宛に書いた手紙。
それは母が渡してくれると…約束だと…言ってくれた。
どんどん意識が薄れて…眠くなってくる。
母はそれに気が付いて
泣いて微笑みながら言った
「いってらっしゃい…」
私は最後の力で
「いって…きま…す…」
そして私は眠りについた
最後に母の顔が見れてよかった。
あの人に手紙を書けて良かった
でも…1つ後悔があるとするならば…
あの人に会いたかった。せめて最後にさよならを伝えたかった。想いを伝えられなくとも…
これは、私がまだ元気だった頃、そしてあの人に恋をした…その時の話だ。