存在を忘れた訳では無い。
しっかりと覚えているし愛している。
ただ、目の前にいるのが「ドット・バレット」じゃなくなっている。
「は?なんで…」
後ろから咳払いが聞こえる。
「ゴホンッ。おい、偽物相手にいつまで泣いてんだよ。」
「ドット…?」
なんでだ?何があった?偽物…?俺がターゲットを間違えた?そんなはずない。目の前にいたのは確かにドットで…
「舐めてもらっちゃ困るぜ」
「なんでっ、」
「こんなでっかい仕事任されてんだから身代わり人形の一つや二つ用意されてるっつーの!」
身代わり人形…?刺す直前に自身と人形をすり替えただと?そんなの一般人に出来るわけがない
「お前、何者なんだ…?」
本物のドット・バレットは無邪気な子供のように、見方を変えると小悪魔のように口角をニッと上げ、
「人に言えねー仕事してんだよ。お前なら分かるだろ…?」
笑って答えた。
その笑顔が俺は、
好きだ。
「好きだ。」
目の前の顔が髪と同じくらい真っ赤に染まっていく。
「っ…あ、俺もだよっ…」
え?俺は口に出てたのか?
しかもドット、今なんて言った…?
俺も?
両…想……い?
「ははっ。そうか。」
―拝啓、数年前の自分へ
ドット・バレットを諦めるなよ。
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