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第6夢
電車
電車の中に入ると、
愛梨さんは居なかった。
由「居ないか…」
車「居なくてがっかりですか?」
由「!?」
車掌さんは昨日の様に音もなく近づき、
ハキハキした口調で話した。
聞こえやすいのはいいが、正直怖い。
由「は、はい…」
車「まぁ、安心してください。その内来ますから。」
由「?」
この車掌さんはどうしてそんな事が言えるのだろう。と不思議に思ったが、
これは自分の夢だと思い出し、改めて自分の性格の悪さを実感した。
車「ですが、来るのに時間がかかると思いますので、そこの座席に座っているといいですよ。」
由「わかりました…」
夢の中は静かで、外の空気とは裏腹に電車の中は暖かかった。
月明かりが輝く中、この駅の中だけ薄暗くて、
次第に瞼が落ちてきた…
愛「由芽ちゃん、」
由「…愛梨…さん…?」
どうやら電車の中で寝ていた様だった。
アナウンスも流れず、電車は進み始めた。
由「僕、確か寝て…」
愛「ふふふ。夢の中でも寝てるなんて、相当疲れていたんだね」
由「あ、ああ、愛梨さんですか、こんばんは」
愛「こんばんは。お疲れみたいだね」
由「いえいえ、大丈夫です。」
愛「今日も良い夜だね。これが夢じゃなきゃいいのに…」
由「僕も…そう思います。」
愛「…」
少しの間、沈黙が続いた。
夢の中だからか、電車の中だからか、愛梨さんだからか、
その沈黙は苦痛でもなく、少し落ち着いた。