全てが燃え上がった日。
きっと始まりはそこからだった。
混乱している者の声が熱気と共に満ち、城は崩れ落ちた。
いっそ悪夢ならば楽だった。
そんな日。
_ふと昼寝から目が覚めて、瞬きを数回する。
…何か夢を見ていた気がする。でもそれが幸せだったか、不幸せだったかはいまいち憶えていない。夢とは大抵そういう物だ。
そしてピンク色の勇者_カービィは特に行く宛もないまま歩き出した。
「…ん?」
しかしやけに今日は暗い様な…。そう思いながら一回足を止め、空を見上げる。クラッコの気分が悪いのか、そこには今にも雨が降り出しそうな程暗い色…というかほぼ真っ黒の雲があった。
「あれ、雨でも降るのかな?」
雲の所為で空の色で時刻を判別することは出来なかったが、さっきまで昼寝をしていたのだから、恐らく今は夕方くらいだろう。漆黒と言っても差し支えない程黒い雲なのでこれから降る雨もきっと酷いに違いない。
この時間から酷い雨が降ってしまえば当然明日のプププランドは泥塗れだろう。
本来明日にはバンダナワドルディとピクニックの約束があったのだが、
「こりゃ明日のピクニックは無しかな」
と小さくため息を吐いて、濡れない内に帰った方がいいだろうと判断する。
「さあ早く帰ろっか」
…そうなった所で。
空に蔓延る黒に負けない位真っ黒な球体が明るいピンクの前に落ちてきた。
「えっ何コレ」
驚いた様子で球体を摩(さす)るカービィ。
「どうして空から…」
と呟いた所で、黒い球体に変化が起こる。
「…カービィか?」
「えっこいつ喋った?????」
なんと球体が喋り、しかもいつの間にか黒い球体には赤い眼が一つついていた!
黒い球体…ダークマター族の一人は、カービィが困惑する様子を気にせずに続ける。
「カービィ。何故かリップルスター付近にディメンションホールが発生していて、しかもどんどん大きくなっていっている。ポップスターも上空まで来ていて今まさに呑み込まれかねない状況だ。原因を探って欲しい。」
「黒い雲を出したのも君ってこと?いいけど…」
状況を未だ飲み込みきれないまま取り敢えずカービィは頷く。
「ならやる事は分かるな?」
ギロリと赤い目玉がカービィを静かに覗く。カービィはその時嫌な予感がした。
…そして的中した。
「やっぱまたディメンションホールに呑み込まれなきゃいけないの〜!?」
地面に打ち付けられた感覚で目が覚める。どうやら呑み込まれた先に待っていたのがここらしい。
バンダナワドルディはバンダナを結び直して起き上がり周りを見渡すと、辺り一面が砂だらけだった。
「…うん、ここどこ?」
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