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「やだっ見てちょうだい!松川さぁん」
「あらっどしたの花巻さん。」
「阿吽がイチャついてますわよ」
「あぁ、嫌ねぇ〜」
「ねぇ〜」
「ちょっと!辞めてよね!いくら俺たちが おしどり夫婦だからって僻まないでよ!」
「きめぇ」
「岩ちゃんなんでそんな事言うのさ!」
「きめぇ」
「酷い!!!!!!!!!!!!!!!」
「うるせぇ、クソ川』
「ちょっと岩ちゃん!?さっきから
俺の扱いが雑だよ!?!?やめて!?!?」
「いつも通りすぎてw」
「笑えるw」
「勝手に笑わないの!!!!!」
「だまれ、クソ川」
「理不尽!!!!!!!!!!」
いつも通りの会話に心做しか部室の空気が どこか柔らかくなる。花巻はそっと微笑み バックを手に取って後ろを振り返った
「松、帰ろうぜ」
「へいへい」
「俺ら先に帰るぞ」
「お疲れ様です!!」
「お疲れぇーいー」
「お疲れ」
「お先失礼します!お疲れ様でした!」
「お疲れさまです…。」
「おう、お疲れ気ぃつけて帰れよ」
「はい!」
「じゃーね、金田一に国見ちゃん」
賑やかだった部室は、ものの数分で静まり返り2人だけのものとなった。
岩泉は特に何も考えず、着替えをしていたが、いつもはうるさい幼なじみが静かであることを不審に思い、ちらりと盗み見た
その無駄に顔の整った幼なじみ…及川は そいつにしては珍しく、真剣な顔付きで じっと前を見据えていた。
その様子に更に不信感が増す。
何かあったのだろうか、今日は特に覚えはないこのまま、明日まで引きずられたら面倒だ、と考え、及川の方を向き直った
「?、どしたの」
「言え」
「…!!!!!」
岩泉の視線が及川を捕える。
この偉く傲慢で乱雑な一言で何を言わんとしたかが分かるのは、付き合いの長さ故か。
「ねぇ、岩ちゃん」
「あ?」
「飛雄、烏野に入ったらしいよ」
岩泉の肩が分かりやすく揺れる、 …あーあー、やっぱりね。 目を細めてポロリとこぼした言葉を、岩泉は、聞こえなかったことにした。 ゆっくりと瞬きをした後、「そうか」と か擦れた声で呟いた
「…聞いたことねぇな」
「ね、知らないね。」
「…なんで知ってんだ」
「んー?いやー、別に」
「教えろ」
「やだって言ったら?」
「…。」
「…」
2人の間に長い長い沈黙が横たわる。 先に沈黙を破ったのは、及川だった
「ねぇ、岩ちゃん」
「…なんだよ。」
「岩ちゃんさ、金田一達を問い詰めてたよね〜影山はどこだーって、影山はーって、」
「…!」
「金田一はずーっと、分かんないですって言ってるのにさ、じゃあ連絡先は持ってるかーって」
「なんで?」
「あ?」
「なんでそんなに飛雄のこと気にするの?」
「…」
「ねぇ、岩ちゃん。」
「…関係ねぇべ」
「あるよ」
「飛雄のことがそんなに心配?」
「…」
「なんで?中学の頃は飛雄に構ってやれなかったから?練習付き合ってやれなかったから? ……俺に精一杯で?」
「…!違う、」
「嘘だね、俺のせいだって思ってるんでしょ、最低だね、そっか!そうだよ!俺よりトス技術の高い飛雄の方が良かったんだ!?そうでしょ!うわぁ、酷いなぁ、最低じゃん!岩ちゃん、ぜーんぶ俺のせいにしてさ!!!!!自分を守るんだよね、酷いよね、及川が言うから仕方なくってさ!なにが男前だっ!ただのクソ野郎じゃないかっ!」
岩泉の前には気がつくと及川が倒れ込んでいたしばらく、固まっていたが、掌のピリッとした痛みから及川を殴った事を理解した。 しまった殴ってしまった、セッターを、主将をだか1度湧いた怒りは止まることはない
「…そうだって言えば満足かよ」
「…」
「頷けば満足なのかって聞いてんだよ!!!!!」
今度は胸ぐらを掴みあげたくなるのを我慢して及川に怒鳴った岩泉に驚いたのか、及川は数秒固まったあと、唇を戦慄かせた
「そんな訳ないだろ!!!!」
「ならなんなんだよ!!!!!」
2人の言い合いは激しくなる一方。柔らかかったはずの空気は、今はただ怒鳴り声が木霊している。
「馬鹿じゃないの!馬鹿じゃないの!」
「うるせぇ、ボケェ!このボケェ!」
「ボギャブラリー少な!さすが馬鹿だね!」
「お前には言われたくねぇべ!ボケが!」
「この!ばーか!ばーか!」
「ぼけ!このぼけぇ!」
いくら現役男子高校生とはいえども数時間怒鳴り合えば、疲れるもので。
息を整えると、また沈黙、重い沈黙。
先程とは異なり今度は岩泉が沈黙を破った
「…帰る」
「…俺だって帰りたい。」
カバンを掴み、部室をでる
本当は1人で帰りたい気持ちはやまやまだが、向かいの家だ流石に無理がある。
2人で縦に並んで、黙々と足を動かす。
しばらくすると冷静になって言い過ぎたなと後悔し始めた。何故か唐突に気まずくなって 岩泉は俯いてしまった。 そこに及川は恐る恐る声をかける
「岩ちゃん、ラーメン食べる…?」
「…食う。」
「…!!うんっ」
「さっきは悪かった」
「ううん、俺も言い過ぎちゃったごめんね。」
「…俺もだ、殴って…スマン…。」
「…!!いいよ!許してあげる!」
「お前が言ったことは許さねぇけどな」
「えぇっ!?なんでぇ!?酷い!酷い!」
「ははっ」
「もーっ!あははっ」
-𝑒𝑛𝑑-