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俺は今金に困ってる。
いや別に?生活できないほど困ってる訳では無いが、余裕がある訳でもない。
報酬が美味い依頼をこなせばいいとか思われるが、残念なことにそこまで俺は腕がいい訳ではなく、ソロで倒せてゴブリンの数匹の群れをいなす程度。また、パーティーを組めばいいとかも思われるが俺にそんな人望は無い。まぁ、かくかくしかじかありましてそれでギルドにも居場所はあるようでないんよ。
という訳で、ほぼほぼ詰んでるこの状態で生活を送ってるのだが、やはり限界が近いので何とかして余裕ある状態を作りたいのだか、これまた厳しいのも事実。
そんなことをひとり心の中で呟きながらまたゴブリン退治をしていた時、不意に変なスキルを手に入れた。
『ダンジョン生成【Lv1】』
字面で分かると思うが、これは明らかにやばいスキルだ。ダンジョンと言うものはこの世界で言うと攻略対象であり、中には多種多様な魔物がわんさか湧いていて、並の冒険者は基本立ち寄らない場所。ある程度の実力と装備を手に入れてようやく力試しに訪れることが出来る。そんなレベルのものだ。さらにこのダンジョンとか言うものは、魔物の質もいいので普段見てる魔物でも彼らから得ることの出来る素材は高値で取引されたり、装備に使われたりする。何より一番は、金銀財宝や市場では見られない特殊な装備も稀にポップすると言われてるので、一攫千金を夢見る冒険者も少なくない。
そんなダンジョンだが、それを生成するスキルがどれほどイカれた性能かはもう言うまでもない。問題は、このスキルがどんなものなのかが一切分からないということ。仮説はいくらでも立てられて、それら全てが有り得るということ。
その仮説とは何か?俺の立ててる仮説は…
・スキル使用者は中の魔物に襲われない説
・【Lv】の概念があるので強化できる説
・スキル使用者の練度に合わせた魔物が現れる説
・ダンジョンの名を借りた地下迷宮だけの説
・最下層にはボスが存在し倒すとダンジョンが消える説
と、内容面に関しての説が多いがこれら全てが適応された場合かなり恐ろしいことになる。というのも、まず最初に上げた仮説①で『スキル使用者は中の魔物に襲われない』というものだが、これが本当ならば緊急事態に陥った際、このスキルを使えば簡単且つ凶悪な避難所が生まれるということだ。俺はお世辞にも強くないので危機に瀕した際これを使えば中の魔物が俺を守ってくれるかもしれないということ。これに関しては俺の願望でもあるが、もしそうなら色々やりたい放題出来そうな気がしなくもない。
続いて仮説②『レベルの概念』についてだがこれも俺の願望に近いのだが、どのスキルに練度というものが存在しこれは使用回数によって技が強化されるもの。例えば、刀身に炎を纏わすスキルがあるがその纏わす炎の火力はこの練度によって変わり、多用してきた人はこのスキルで纏わす炎が蒼に変わり『蒼炎の剣士』なんて大層な名を与えられたりする。
そんな事例が存在するためこの『ダンジョン生成【Lv1】』もそれに当てはまるのではないか?という説で、もしこれが当てはまった際の強化点はなんなのか?ということだが単純に考えると中の魔物が強くなるという点が真っ先に思い浮かぶ。
更にここから仮説③の『スキル使用者の練度に合わせた魔物が現れる』というところにも繋がってくる為、【Lv】をあげることはダンジョンの質をあげることに繋がるわけだ。
さらに繋がる説『ダンジョンの名を借りた地下迷宮』という説だが、これもありえない話ではない。しかし、【Lv】の概念があるということは先程あげた仮説③の『練度』の話になってくる。つまり、中に魔物が居なくとも何らかの方法で練度が上げられればこの問題も解決するということ。
最後に『最下層の魔物を倒すとダンジョンが消える』という説だが、これは本来のダンジョンの性質上の話で必ずダンジョンの最下層には高位の魔物が存在しており、その魔物を倒すことで金銀財宝や市場では見られない装備品を手に入れたりすることが多い。また、その魔物を倒すと部屋の中心に魔法陣が現れそこに乗ると地上に戻されダンジョンが消滅するという不思議な作りになっている。これが『ダンジョン生成【Lv1】』にも該当するならばもし、俺が避難所としてこのダンジョンに入ったとして他の者が攻略した場合ダンジョンが消える。その際地上に出てない俺はそのまま存在が消えてしまう可能性が生まれてしまうわけだ。
やはり、ものにはリスクというものが存在するためそんな上手い話はそうそう起きるものでは無い。が、今話したものはあくまで俺の持ちえる知識が引き出した『仮説』実際に使用してみないとなんとも言えないのが現状である。
やりたい反面危惧してることがある。それはダンジョンが生成されるとしばらくして付近のギルドに発見される率があるということ。これの何がマズイかという話だが、先程あげた通り俺自身の実力はそうでも無いのにそんなヤツの隣にダンジョンがあるってなると、疑問視する輩が現れるのと【Lv】という概念があるため中の魔物が弱いとそれはそれで疑われる率が高いってこと。
誰にも気づかれないようにダンジョン生成を行い、検証したい。そんな良物件を探さないといけないのだがそんな良物件あるわけ………
いや、あるぞ?罰当たりかもしれないが確か数年前に魔物とどっかの国との争いの戦地の中心となった廃村がある。あそこなら誰も近寄らないから検証するにはピッタリかもしれん。
完全に罰当たりだが、使われなくなった土地を有効活用するって言う免罪符を自分の中で掲げ言い聞かせて、あそこに向かうことにするか……。と、その前にギルドに依頼の報告もしとかないとね。