「えっと…まずは、昔の話から話しますね」
そう言って私は、mmさんのお願い通り、rkにぃについて話し始めた。
私に物心がついた頃ぐらいの年。
その頃のにぃは、妹思いで優しかった。
もちろん私だけじゃなく、他の人にも。多分人外の方にも、すんなり心を許しちゃうんじゃないかってくらいは。
そんなお兄ちゃんだったのに。
ある出来事のせいで、ガラリと性格が変わった。
それは────。
私達の両親が“人外に”殺されたときの話。
その人外はもう罰せられていて、償い等も済んでいて釈放されているが、
にぃはそれでも許していないようだった。
確かにrkにぃは、両親を誰より、本当に、大事にしていた。
そんな大切な人がいなくなってそう思うのは当然だと私も思っていた。
私はというと、正直複雑だった。
その頃もちゃんと自分が人外だと認知できていたから、私がどうこう言うのは難しいと判断してた。
でも、どうして両親が人外に殺されたかの動機は“私だけ”知っていた。
彼らは事情聴取でも頑なに話さなかったけど、私だけは知ってた。
私達の両親は人間のふりした“人外”だったから。
お父さんは人間の狩人リーダーを務めていたし、お母さんも狩人幹部に上り詰めるくらいの能力持ちだった。
けど、その裏は、人外リーダーとその側近。
人外をまとめ上げると同時に、人間を常に監視でき、表世界ではTOPレベルの立ち位置。
その立場が人外たちからの怒りを生んだ。
“どうして、ごく普通の人外は自由に人間界に行き来できないのに、
両親達は出来て、しかも人間のふりして安全安心な暮らしをしているのか”って。
それで殺人に及んだんだ。
でも、それが100正解だったとは思わない。
直後、人外には一番強てだったmmさんが、
人間には跡継ぎとして育てていたrkにぃがリーダーを務めることになった。
その事件もあって、昔の事件もあって、
私達人間と人外の関係は悪化した。
それにより、rkにぃの気持ちも急激に変化していった。
最初は、人外を捕らえるという強い意志はなかった。
いたら注意を呼びかけたりするくらいで。
でも次第に、捕まえろ!探せ!この世から人外を消すんだ!そういう意志になっていった。
私としても居心地が悪かった。
別に人外全員が悪いわけじゃないのに、別に人外の中にも善良な心の持ち主だっているのに。
どうして全員が全員捕まえられないといけないのか。
いつか実兄に捕らえられてしまう時が来るのだと考えると、恐怖でしかなかった。
それなのに、人外への思いは一方的に強くなるだけだった。
それと同時に私の心も段々辛くなっていった。
自分の居場所が減ってく中、
自分の仲良しの方も捕まってしまって、
私も同じ様になってしまうのじゃないかずっと心配で気が気じゃなかった。
ついに私は今日、にぃに勢いのまま聞いちゃった。
「どうして、人外を捕まえるの?」
って。
普通なら聞く意味がわからない。
私が聞くのも超不自然。
どうしてか、思い詰めてしまっていたみたいで、咄嗟に口に出た。
にぃだって怪訝そうな顔してたし、私だって自分で言ってて少し戸惑った。
………でもにぃの答えで、余計に心が苦しくなった気がする。
「人外を怯える人を助けて、人間が平和に暮らせるために」って言ってた。
あたかも人外全部が悪い人扱いされて、
居ないのが人間にとっての幸せって思い込んでて。
そんな思いもあって私はここに飛び出してきちゃった。
ここまで、話したけどまとめると…
昔のrkにぃは優しくて、人外にも強く当たらなかった。
けど、両親の一件で考え方や性格が歪み始めて、
段々と人外に対して敵対心が溢れ出した。
それだけじゃなく、年々その思いは一方的に強くなるだけだった。
でも、狩人としての実績や有能さで選ばれ、今もなお人外が悪者だと思い、それを人間界に発信している。
ということだね。
こんな感じでにぃのこと、わかったかな?
正直私でもまだまだ、うちの方まで知り得ないことはあるから、確信的ではないのかもしれないけど
参考になったら嬉しいな。
私は最後にそう言って、にぃについての話を遂げた。
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