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「彼はカイセイなんかいう綺麗な人じゃない!成田彰の化身だ!」
全く持って意味がわからなかった。化身?成田彰の?あの成田彰?
「オイラの力を使い犯罪までに手を染めた…極悪人だ!」男性は血相を変えそう言った。
「あなた何者ですか?」
「オイラは時の妖精、ベンキィ。こうして人の姿になることもできる」そう言うとベンキィはデビルのような薄黄色の体へと変わった。
「それでカイセイは一体…」
「彼は前田蓮という男。未来でゾンビに襲われこうして過去へと戻り他の人の体を借りゾンビウイルスを抹消せよと命令したはずがこんな結果に…」ベンキィは悲しそうな表情でそう言った。
「俺は一体何をすればいいですか?」
「彼を…殺してくれ…そうすれば彼の魂は前田蓮に戻る。そしてまたあの悲劇が始まる。それでいいんだ。あんなやつに手を貸したオイラが悪(わり)い」
「殺す…?俺は捕まるじゃないですか…!?」
「いいやオイラが殺したと言う。オイラもその場にいればそれは証明される」
「……」
「ああそうだ!あの研究所に行ったら奴を殺してくれ頼む。オイラはお前しか頼れねえ」
俺はすぐにははいと答えられなかった。親友を殺害し罪を他の人に被せる。そんなのに俺が耐えられるはずがない。
「おい!」そう言うベンキィに俺は言った。
「罪は俺が被ります。彼がいけないことをやっているのはなんとなく分かりました。死刑になっても俺は俺なりの正義を貫き通します」
「はっ…!本当か!ありがとう!」そう言うとベンキィはその場からいなくなった。
その後、俺は何事もなかったかのように自宅へと向かった。辺りは薄暗く歩道にある街灯だけが自宅までの道標だった。
バン!
俺はそうミニバンのドアを閉める。目の前にあるのはあの研究所だ。カイセイと共に動画を撮りに来た。ちなみに俺は動画の撮影係もしている。
カイセイは俺より先にどんどんと奥へと進んでいく。ここにこれて嬉しいのだろう。俺は早速カメラ片手に動画を回し始めた。カイセイを呼び挨拶を撮る。それから研究所に入り探索を始める。その時、カイセイはとても楽しそうで見たことのない表情をしていた。その間、俺はあるものを探す。凶器だ。彼を殺さなくてはいけない。そういえば成田がゾンビを殺した凶器はカッターナイフだったはず。それがあるのならばカイセイをそれで……。
実験室へやって来た。カイセイがドアを開け中へ入る。その瞬間俺は凶器を探すに夢中になった。その時。俺がふと床見るとそこには赤い血の着いたカッターナイフが落ちていた。俺はそれを真っ先に手に取りカイセイの方へ走った。
グサッ!
俺はカッターナイフでカイセイの胸を突き刺した。その場でカイセイは苦しそうに倒れた。俺はすぐさまカメラの録画を止めその場を去った。
極悪人は悲劇へ戻れ。
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