コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
目の前に広がる見たことも無い景色。いつもの古くさい匂いがする木でできた机とは真逆の真っ白で高そうな材質の天井、そして宝石が広がった。
??「おはようございますお嬢様」
誰かが少し怯えながらに私にそう話しかける。
「ねぇあなたは何者?私はどこにいるの」
何者かわからない、メイド服を着た誰かが目を丸くして私にこう答える。
「私はお嬢様の召使い。今いる場所はお嬢様がいつも暮らしているお城ですよ。まさか記憶がなくて?」
そう言われても全くピンと来ない。現実とのギャップがありすぎていてこれは夢なのだろうと思った。そして私は今まで感じた事のない、頭皮が引っ張られるような重さに気づく。
「ここに鏡はある??」
咄嗟に聞くとダイヤモンドが散りばめられている見るからに高価な手鏡が渡される。
うそでしょ…
肩にかかるくらいにしかない髪、カラーコンタクトなんて入れたことのない真っ黒な瞳、少し皮が向けている荒々しい唇、肌、堀の浅い鼻、そんなパッとしない私が映るはずだった。その鏡には朝日の光が照らさてキラキラと輝く金色の腰までのびる華やかな髪、まるで宝石のような水色の瞳、形の綺麗な唇、傷ひとつない肌、堀の深い鼻。到底私ではない綺麗な女の人が映っていた。
何回頬を引っ張ろうと現実に戻ることはなく、己自身の環境、見た目、声、全てに違和感を感じる。
私は一体何者なの…
不安もある中でいつものつまらない日常とは違う現実離れしたこの世界に興味も持ち始めていた。
「あの…私自身のこと、他の人のこともいろいろ忘れてしまったみたい。ごめんなさい…」口調に気をつけながら、お嬢様になりきって話してみる。
そんな私を見ながら召使いの怯えた顔が少し緩んだのがわかった。
「あの時の衝撃で記憶を…。わかりました。分からないことがあったら召使いの私になんなりとお申し付け下さい。」
「助かるわありがとう!」
満面の笑みで返す私に、驚いた顔を見せる。
何故私に怯えた顔を見せたのか。一体過去の私はどんな人物だったのか…。