そいつは雨の中
俺に助けを求めてきた
《ねぇ、おじさん、俺を、助けて、?》
孤独少年_____
つまらない人生
別に死んでも良いんじゃないかって
いつもそう思う
でも死ねないんだ
死にたいのに死ねない
それは自分の心の弱さを表していると思う
死にたいならさっさと死ねば良いだけのものを
死ねないと理由を言う奴はただただ弱いだけ
死ぬ勇気がないのだ
実際俺もそうだった
朝起きて、
仕事をして、
家に帰って、
寝て、
朝起きて、
仕事をして、、
それの繰り返し
だが、そんなつまらない人生に
終止符を打ってくれたのは
ある1人の少年だった
いつものように仕事場を後に
夜、1人で雨の中を
びしょびしょになりながら帰っていた
クイッ
俺の黒いコートの裾が引っ張られるような
感覚があったからふいと後ろを向いた
そしたら
俺と同じ目をした
びしょびしょになっている少年がいた
なにか訴えかけているようにも見えた
そいつはこの真っ暗な電柱一本しかない
濡れている道で俺の裾を掴んだのだ
『何をしているんだ』
と、話しかけてもただ裾を掴んでいる
フードをかぶっていてあまり顔は見えないが
よく見てみるとそいつは
包帯やら絆創膏やら色々と怪我をしていた
血が滲んでいるところも多々あった
そんな状態だったから一旦俺の家に連れ帰った
彼を椅子に座らせタオルで拭いてあげた
なにせ、寒い秋の雨そのままにしておくと
絶対に風邪を引く、
そんなこんなで拭き終わり
服を脱がせた
彼は裸になり寒そうにしながら
かたかたと震えていた
しょうがねぇじゃん!
子供用の服なんてあるはずない!
ヘクチッ!
と、くしゃみをしまたかたかた震え出す
今回はしょうがないので俺の服を着させた
予想通りクソほどダボダボ
まぁ服はよかった
次だった
こいつの体に刻まれているキズたちを
手当てしようと包帯に触れようとしたら
パシッ!
彼に叩かれた
彼が言うには
『包帯を外したくない』
とのことだった
俺は交渉した
どうにか包帯を変えてくれないかと
ばい菌が入って死ぬぞと
そうしたら彼はしぶしぶOKを出してくれた
包帯を解くと
彼の顔がしっかりと見えるようになった
彼は整った顔をしていて瞳も綺麗なピンク色
彼が包帯を取ることを拒否した理由がわかった
右目辺りにひどい火傷痕があったのだ
それを見られるのが嫌だったんだろう
彼は少し俯いていた
俺は手を動かしながら彼に問いかけた
『お前の名前は?』
彼は答えた
『……らん、』
らん、彼の名はらんと言った
俺も自分の名を名乗った
そしたら、らんは興味なさそうに
『ふぅ〜ん、』
と言った
手当が終わり
ご飯を食べることにした
らんはとても痩せていた
本物のミイラのような感じがして
少し怖かったのは秘密
らんの前に皿を出したが食べる気配が全くない
『食べないのか?』
そう聞くとらんは答えた
『……いらない』
その後も
『いらない』の一点張り
食べないと死ぬ
ていうのを一番わかっているのは自分だろうに
なぜかこいつは箸を勧めない
食べたく無いのか食べれないのか
そんなの俺にわかることではなかった
それでも食べて欲しい俺はらんに言った
『なんも、入ってないぞ?』
らんの体が少しだけ動いた
『そんなに信用ならんか』
らんは俯いたまま
俺はらんに信用してもらえるよう
らんのご飯を一口もらった
『ほは、はんもはいってはいだほ』
(ほら、なんもはいってないだろ)
らんの目は先ほどよりキラキラとしていた
らんと格闘すること3分、
やっとご飯に手を出してくれた
パクパクと一つ一つ慎重に食べ進めていく
『どうだ?美味しいか?』
『…うんっ、!』
少しは俺に懐いてくれたかなと
嬉しく思ったのはまたまた秘密
そのまま俺たちは雑談をして
寝落ちしてしまった
朝になり朝食を作っていた
そしたら物音が聞こえた
たぶんらんが起きたんだろう
『ぉ、おはよぅ、いるま、』
初めて俺の名前を呼んでくれた(嬉しい)
『おはよ、らん』
そしてまた朝食を作る手を動かすと
らんは小さい背を伸ばして
俺の方を見ていた
かわい(((
『いるま、手伝うよ、?』
『あ、あぁ、ありがと、ご飯注いでくれ』
『コクッ』
そんなこんなで朝食が完成した
朝食中にこんなこと聞いていいのか
わからなかったが一応聞いてみた
『お前、なんであんなんだったんだ?』
らんは俯いたまま悲しそうな顔をした
『嫌なら話さなくていいんだ』
『やだ、いるまなら話す、』
そう言ってらんは話し始めた
『にげ、出したの、孤児院から、
もともと親がいなかったから、保護されたの
そこで入ったのはよかったのっ、
でも、俺、目つきとか、口が、悪いから
なかなかお友達ができなくてっ、
喋りかけても、逃げていっちゃうしっ、
なんだかせんせーも、俺のこと嫌いみたいで
ちょっとだけ、いじめられてたの、
でもね、!すごく優しいね、!
せんせーがいたの、!
俺のこと、いつも助けてくれたのっ、!
唯一大好きだったせんせーはね、
死んじゃったの、
雨の日のこうつうじこ、だったって、
その日から俺のこといじめてたせんせーが
もっと俺のこといじめて来たの
ほうたいとか、傷はそれのことっ、
大好きなせんせーもいなくなったし
ここにいたらただただいじめられるだけ
だったらここを抜け出しちゃおうって
抜け出した日も雨の日だったの
だから怖くなって人が少ないとこに来たの
そしたら俺と同じ目をしてる人がいたの、!
それがいるまだよ、、!』
同じ、ことを思っていた
あの時もそうだった
後ろを向いたら俺がいると思った
俺と同じ目をしていたから
俺と同じ死にたい目をしていた
人生に疲れたような目をしていたから
『ぃ、いるま、?』
チラリとらんの方を向く
今のらんは死にたい目をしていない
むしろ楽しい、嬉しい目をしている
よかった
『ん、どうした?』
『いるまの目ね、すごく綺麗なの』
『は、?』
『なんかね、前と同じような目、してないの』
『そう、か、』
『俺はね、それがすごく嬉しいの、!』
『……』
らんも、同じことを思っていたんだ
俺はらんに救われたし
らんは俺に救われた、
その時初めて俺に新たな感情が生まれた
【生きたい】
らんとずっと一緒に生きていきたい
そう、思ってしまった
『らん、ちょっといいか、』
『うんっ、!なぁに、?』
『俺とずっと一緒にいてくれないか、?』
『!…いいよっ!』
『本当か、!』
『俺、いるまとずっと一緒にいられるなら
いい!』
『ありがとうっ、』
ありがとう
『ねぇ____〜、これ買って!』
『はぁ?お前まじて言ってる??』
『うん!買ってよね、お兄さん!』
『バカ、そんなんで釣られるわけないだろw』
『ひどい!!』
『このピアスなら買ってやる』
『え〜、___のけちー』
『買ってやんねぇぞ』
『それはやだぁ!』
『どぉ?似合ってる?』
『あぁ、似合ってる』
『ねぇ、___、』
『ん、?』
『これからもずっと一緒ね?』
『…わかってるよ、』
生きる理由をありがとう
助けてくれてありがとう
一生の約束をありがとう
ずっとそばにいてくれてありがとう
これからもずっと一緒で大好きな人へ
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