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何気ない日常がとうとつに終わりを告げた。
父の商談が失敗してしまったのだ。
父の兄(私からすると叔父にあたる人)が、商談先の店で多額の借金を背負っていて、そのまま返済せずに行方をくらましたらしい。
そうして父、私たち家族は成り行きで借金を肩代わりすることになってしまった。
期限は2年。それまでに全てを返済しなければ不幸が舞い降りると脅されたらしい。
まず、手始めに持っていた建物、土地、商品のすべて売った。
それでもまだ足りない。
住処を失った私たち家族は揃って貧乏街に引っ越し、借金を返済しながらほそぼそと暮らすことになった。
「ごめんねぇ…きよ、ちよ、ゆうた……こんなことになっちゃって…………」
と母がいうと父も
「本当にすまん…家はこんなに古いし、狭いし………不便をかけてしまって…………」
とひたすら私たちに謝っていた。
(…………私がして欲しいのは”あやまる”ことじゃないのに…………)
するとゆうたが
「…ぼくは、このおうち、だいすき!
だって、こぉんなちかくにかあさんも、とうさんも、ねえちゃんも、ちよもいるんだもん!………あったかいねぇ!」
といい私たちをぎゅうっと抱きしめた。
父と母は泣きそうになりながらゆうたを抱きしめ返していた。
父と母は叔父の借金を返済するために朝も昼も夜もずっと働いていた。
私も働くと言ったら父と母に猛反対され
「きよはここで待っていなさい」
「ゆうたとちよの面倒をみててあげてね」
の一点張りで聞く耳をもってくれなかった。