「それはね、君達を殺すかどうか」
そんな声が聞こえた瞬間、炎がとんできた
その炎は、ゆあんくんの肩すれすれを通過した
今の火は……どぬくさんが放った?
「嘘だろ?!どぬくさん!殺すとか意味わかんないよ!」
ゆあんくんが攻撃に怯まず、一歩前に出て言った
「殺すの意味が分からない?…なら今から教えてあげるからさ…ちゃんと死を実感してね」
どぬくさんの手からは、次々と炎を放っていく
私とゆあんくんは、逃げる事で精一杯で、どぬくさんを説得する暇もなかった
しかも、逃げる時に一瞬見えたどぬくさんは笑っていた
その表情がとても恐ろしかった
…殺すのは、楽しい事なの?
「あっ…」
気づいた時にはもう遅かった
考え事をしてばかりで、全く周りを見ていなかった私は、石に躓いて転んでしまった
「るなさん、よそ見ばかりしてたら死んじゃうよ?」
どぬくさんが私に向かって炎を放つ
もうダメだ……そう思った時、
私のもとに走って来るゆあんくんがチラッと見えた
「今までありがとう、ゆあんくん
ゆあんくんの事、絶対忘れないから__」
私の最後の言葉、ゆあんくんにちゃんと届いたかな?
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
ゆあんside
俺の目の前で、るなさんが炎に包まれていく
それを見ながら笑っているどぬくさん
いや、もうどぬくさんなんかじゃない
あれは、九尾の狐だ…
「どぬくさん、いや、九尾の狐!よくもるなさんを!」
「何?俺のやり方になにか文句ある?
あっもしかして、違う死に方が良かったかな?」
そう言った瞬間、九尾が俺の隣に来た
なんで……もしかして、瞬間移動?
「おい、九尾…何の真似だよ?」
「ふ~ん、もう“どぬくさん”って言ってくれないんだ」
「当たり前だろ!」
「そんな事言うんだったらもう殺しちゃっていいかな?」
隣には、赤く長い爪が見えた
これで切られたら、一発、かな…?
「その表情いいね、ゆあんくん」
クソッ!俺がなにも出来ないからって…
「九尾、そもそもなにが目的なんだよ?!」
俺はずっと気になっていたことを聞いてみる
「あー、殺しはね、九尾になるために必要なんだよ」
「……どういう事だよ?」
「俺はね、もともと九尾の家庭に生まれたんだ
そして九尾になるためにはね、俺と家族以外で長い間いた人の魂9つが必要なんだよ」
その瞬間、俺の首筋になにかなにか当たった
とても鋭くて、赤い爪が___
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
どぬくside
「これで二人目か…」
俺はるなさんとゆあんくんを殺した
これで良かったのか、今更思う
「けど、いいんだよ……もう…」
ここまで長かった
2年間、作戦を考え続けた
家族の期待にこたえるために…
こちらに向かって走って来る足音が聞こえる
多分他のみんなだろう
もう来ちゃたのか……
いやだなぁ、大切な人殺すとか
ゆあんくんに言った話しは嘘
本当は、自分の大切な人を最低10人殺さなくてはならない
俺は、最後まで悪でいることを選んだ
「どぬくさん!」
みんなの声が聞こえる
これで、最後だよ……
さようなら、みんな
俺のこと、大切な仲間だと思ってくれてるんだったらさ、
俺のために、死んでくれるよね?
狐 END
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