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やっぱり昔の行いもあって、ツンデレで伝わらないような会話であってもアーサーにとってはかけがえのない、兄弟って感じでものすごく好きです!!結局の所、仲の良いのか分からないような眉毛ランドがいいですね、、次回も楽しみにしておきます!!
うわぁスコ兄そんなツンデレもアーサーにとっては嬉しいのかな〜?なかなか見れない絡みを提供してくださりありがとうございます!眉毛ランド(特にスコ兄とアーサーの絡み)いいですよね〜!続き楽しみにしてます!
ツンデレなのかクーデレなのか、でもスコとアーサーの兄弟間の距離感や関係性が最高です…後アーサーが不憫で可哀想で大好きです
キャプション(あらすじ・説明欄)必読。
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⚠︎注意⚠︎
・ スコ英
・ 不眠ネタ
・ ねつ造紳士
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早朝の4時辺り、早くに目が覚めてやることも無く暇だったから、紅茶でも飲もうと1階のリビングに降りると、其処には呻き声を上げながらソファで丸まっている弟がいた。
その呻き声と共にひっきりなしに聞こえてくる「ごめんなさい」「許して」と言う言葉に、思わず耐えかねてしまった。
愚弟を起こそうと、額に強烈なデコピンを喰らわせると、涙に濡れたペリドットの瞳をゆるゆると開いた。
「あにぅえ…?」
「寝てる間もうるせぇのかお前は」
「ぁ、す、すみません…!」
漸く自分が悪夢にうなされていた事に気付いた弟は、慌てて起き上がりソファの端に縮こまるようにして寄った。俺はそれにより出来た 空いたスペースに腰を下ろした。
横に座る弟は、まだ涙を零している。
「相変わらず夢見が悪いのか」
「はい…懐古主義も、いい加減辞めるべきですかね…」
愚弟の懐古主義振りは国体間でも有名な話だ。何百年前の事を未だに引き摺っている。大英帝国として世に名を知らしめていた時の事も、大陸の向こう側に居る植民地を家族と呼んでいた時の事も、まるで昨日の事の様に覚えている愚弟は、今みたいに悪夢にうなされることは珍しくもないことだった。
過去を懐かしむ心は、どの国体達にだってある。唯、この弟の場合は懐かしむと言うより、自身が幸せを感じた時、期待をし過ぎない様にする為のストッパーの様な役割でしか無かった。
イギリスの代表ともなる男は、自分に対する評価が著しく低かった。自負も自虐も日常茶飯事で、自身が周りに嫌われているていで関わるから、その関わり方は何処か遠く、一歩引いているような接し方だ。
「どうしたら、お前は安眠できる」
腕を組んで目蓋を閉じながら聞けば、愚弟は暫くの間黙り込んでしまった。俺からこんな質問をされるとは思っていなかったのだろう。
少しの間沈黙が続くと、おずおずと口を開いた。
「誰かが、傍に居てくれてる時…だと思います」
何も返さず、その先の言葉を促せば、愚弟は従順に応える。
「風邪を引いた時はウェールズが、7月が近付いて体調を崩せばカナダが、俺の看病をして、眠るまで手を握っててくれるんですけど…その時は、深く眠れます」
凄く暖かいんです。と付け加えた弟は、相も変わらず遠い目をしていた。俺と同色の筈の瞳が、酷く澄んで見えた。
「でも…誰かが傍に居ると、目を瞑る事が出来ない。朝起きたら、喉元に刃物を向けられているかもって考えると…怖くて寝れないんです。実際にあったのですから、余計に」
我が弟ながら、可哀想な人生を歩んでいる事だ。
こいつは、何人もの人間にも国にも裏切られて生きてきた。可愛がっていた部下に、貢献し続けてきた上司に、仲良くなれたと思えた国に刺され撃たれ犯され毒を飲まされ…それを繰り返して来たおかげで、弟は常に他人の目を気にしながら生きている。
常時全方位警戒型システムの愚弟は、例え寝ていようと酒を飲んでいようと、喉元に自身を殺す物が近寄れば瞬時に覚醒し相手を沈められる。でも、その暗殺しようとした人物が親しかった者だった時、そのぽっかり空いた穴はより大きくなって、落胆の底沼は深くなる。
だから、大英帝国時代の半ばから、愚弟はそんな状況に陥っても、目を開ける事は無くなった。その暗殺者の顔を見ないようにしたのだ。落胆したくないから。死なない事をいい事に、相手に易々と自分の首を差し出すようになった。ただ、相手の気配にも雰囲気にも敏感な弟だ。目を開かずとも、暗殺者が誰なのかなんて分かっていただろう。
それでも、目に映るまでは確信は来ないから、弟は目蓋を閉じ続けた。その結果暗殺を企てる奴らは調子に乗って増えていき、弟の絶望は増え続けることにしかならなかった。
隣からは、再度啜り泣く声が聞こえてきた。
「俺は寝る、静かにしていろよ」
「えっ…?」
弟は俺の冷たい態度に、驚いた様な顔をした。その顔をするのは、言葉を全て聞いた後にして欲しい。
「誰かと寝たけりゃ、勝手にしろ」
その言葉を聞いて、鈍感な弟も漸く意図がわかった様な顔をしたが、俺は見て見ぬふりをして目を閉じた。
一分弱経った頃、肩に重たくなるのを感じて、細く目を開いた。其処には先程までソファの端でうずくまっていた弟が、涙を数滴こぼしながら寝息を立てていた。
それを確認出来れば、俺は再度、真っ暗な景色を見ることにした―――
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