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すすずめくん
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【 第8話 】
「 また会いたいと言うためのお出かけ 」
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↑この線多めですがご了承ください 🤲🏻
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「 だから逃げないでくださいよ ッ …」
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夜の駐車場。
政裕の声だけが静かに響く。
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秀哉は振り返ったまま動けなかった。
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正確には。
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嬉しかったから。
多いけど ッ … やっぱり
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もし違ったらどうしよう。
もし自分の勘違いだったら。
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そう思うほど。
でも 、政裕さんの言葉は優しかった。
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「 ……怖いのは俺だけだと思ってました 」
秀哉がやっと絞り出した声は少し掠れていた。
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政裕は小さく笑う。
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「 そんなわけないですよ 、 」
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その返事があまりにも自然で。
秀哉は少しだけ笑ってしまう。
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張り詰めていた空気が少しだけ緩んだ。
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しばらく沈黙。
でも不思議と苦しくない。
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政裕がゆっくり口を開く。
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「 ひとつ、お願いしてもいいですか 」
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秀哉は顔を上げる。
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「 ……お願いですか 、? 」
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政裕は少しだけ迷う。
珍しく言葉を選んでいる。
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そして …
「 今度、二人でご飯行きませんか 」
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秀哉の思考が止まる。
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ご飯。 ご飯?
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でもそんな余裕なく政裕さんは続けた。
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「 現場じゃなくて 」
秀哉の心臓が跳ねる。
「 仕事でもなくて 」
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さらに跳ねる。
政裕さんは少しだけ視線を逸らした。
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そして小さく笑う。
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「ちゃんと考えたいので」
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秀哉は思わず顔を覆う。
「 それ反則でしょ …… 」
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思わず漏れた本音。
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政裕が目を丸くする。
「 え? 」
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「 いや……何でもないです 」
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何でもなくない。
全然何でもない。
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だって。
本当は … 、
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仕事じゃなくて。
現場じゃなくて。
ただ会いたかった。
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その願いを。 今。
政裕さんが口にしてくれた 。
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秀哉はゆっくり息を吐く。
そして。
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「 ……行きます 。絶対 ッ ! 」
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政裕の目が少しだけ柔らかくなる。
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「 よかった 」
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その一語だけなのに。
秀哉の胸はいっぱいになる。
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二人ともまだ知らない。
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その約束が。
二人の関係を大きく変える夜になることを _ 。
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Masahiro’s Mind ༘⋆ ꙳ ꕀ
それからあっという間に時が過ぎ 、予定の日になっていた _ 。
俺は約束の三十分前には店の前に着いてしまった 。
着いてから、自分でも馬鹿だと思った。
まだ誰も来ていない。まあ、待っているのは
予約時間まで余裕がある。
店員に不審がられない程度に近くを歩いてみたり、スマホを見たりして時間を潰す。
それでも時計を見る回数は減らなかった。
こんなことは久しぶりだった。
仕事ならもっと冷静でいられる。
現場なら何百人いても平気だ。
初対面の人と話すことだって慣れている。
それなのに …
秀哉が相手だと
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「 ちゃんと考えたいので 」
あの日、自分で言った言葉を思い出す。
今でも間違っていたとは思わない。
逃げたくなかった。
曖昧なままにしたくなかった。
でも。
あの言葉を口にしてからというもの、秀哉のことばかり考えていた。
三日。 たった三日。
仕事に集中していれば過ぎると思っていた。
なのに気づけば、
今日何を話そうとか、
ちゃんと眠れているだろうかとか、
そんなことばかり考えていた。
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ふと顔を上げる。
… その瞬間だった。
政裕の呼吸が止まる。
秀哉がいた … 、
駅からこちらへ歩いてくる。
いつも現場で見る姿とは違う。
セットされた髪でもない。
撮影用の衣装でもない。
ただの私服。 ただの休日の格好。
なのに 、いや、だからこそ
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秀哉がこちらに気づく。
軽く手を上げる。
「 …お待たせしました ッ ! 」
その笑顔だけで心拍数が上がる。
政裕は思わず視線を逸らした。
まずい。
それは自分が思った以上だった。
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思ったより好きだ ッ …
自分でも呆れる。
三日間考え続けたくせに。
まだそんなことを思うのか 、と …
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店に入る。
案内された席は窓際だった。
そして秀哉と2人で向かい合って座る。
たったそれだけのことなのに、食事を楽しむだけなのに ッ …
現場ではあれだけ近い距離にいるのに。
今日の方が緊張する。
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「 なんか不思議ですね 」
先に言ったのは秀哉だった。
メニューを見ながら少し笑う。
「 こういうの 」
政裕も小さく笑った。
「 確かに ッ … 」
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不思議だった。
仕事じゃない。
撮影もない。
メイク道具もない。
時間に追われることもない。
それなのに会っている。
それが妙に不思議で 、嬉しかった。
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その後に料理が運ばれてくる。
他愛もない話をする。
最近見た映画。
仕事の失敗談。
子どもの頃の話。
そんな会話なのに楽しい。
普段こんなに笑ったことないくらいに笑った
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政裕は途中で気づく。
現場では知らなかった表情がある。
秀哉は意外とよく笑う。
面白い話をすると肩を揺らして笑うし、
困ると少しだけ眉が下がる。
そして、
好きな話になると目が輝く。
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知らなかった。
… こんな顔。
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知れば知るほど。
好きになる。
その事実が恐ろしいくらい自然だった。
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気づけば二時間近く経っていた。
2人はそれに気づき 、店を出る。
夜風が少し涼しい。
駅まで並んで歩く。
どちらも急いではいない。
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駅前に着く。
人が行き交う。
電車の音が遠くで聞こえる。
それなのに。
二人とも立ち止まったままだった。
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もう帰らなければいけない。
分かっている。
でも。
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沈黙が落ちる。
気まづくはない。
ただ少しだけ名残惜しい。
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秀哉が小さく笑った。
「 なんかやっぱり変ですね 、 笑 」
「 何がですか 」
「 帰るだけなのに 」
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その言葉にふいに俺も笑う。
本当にその通りだった。
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次に会う保証なんてない。
仕事で会えるかもしれない。
会えないかもしれない。
だから。
今言わなければいけない気がした。
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政裕は静かに息を吸う。
そして秀哉を見る。
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「 … また会えますか ッ ? / 」
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言った瞬間。
心臓がうるさいほど鳴った。
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秀哉は少しだけ目を見開く。
驚いたような顔。
それから。
ふっと笑った。
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今まで見たどの笑顔より柔らかい。
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「 会います 。絶対に … ! 」
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会いますっていうたった四文字。
それだけなのに。
胸の奥が少しだけ軽くなった。
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もう。
仕事だけの関係には戻れない。
たぶん秀哉も。 自分も。
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夜の駅前。
電車を待つ人混みの中で。
二人だけが少しだけ立ち止まっていた。
次に会う約束を抱えたまま_ 。
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今回短すぎましたね ッ … すみません 🙏🏻
編集後記書いてみました っ !
良ければ感想等 、聞いてみたいと思いまして … !
コメント 、してくれると嬉しいです ! 🫶🏻
コメント
1件
うわあ、もう…このエピソード、めちゃくちゃ良かったです…!夜の駐車場のシーンから、秀哉が逃げたくなる気持ち、すごく分かりました。嬉しいほど怖くなるって、ああいうことですよね。そして政裕さんの「ちゃんと考えたいので」の優しさに、心臓が跳ねる感じがこっちまで伝わってきました。二人でご飯に行く約束をして、デート中に「知らなかった表情」を発見していく流れも好きです。最後の駅前で「また会えますか?」の問いと「会います」のやりとり、静かで温かくて、本当に素敵でした。