テラーノベル
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翌朝、起きてすぐトモエは近所のコンビニでサンドイッチを買って、ホワイト・リズムのビルに戻り、ダイニングキッチンのテーブルで朝食を摂った。
トモエを含む七人全員が楽に座れる大きなテーブルと椅子、キッチンには大きくて立派なガスコンロ、流し台、冷蔵庫などがあったが、長らく使われた気配がなかった。
他のメンバーは朝早くからどこかに出かけたのか、自分の部屋にこもっているのか、一度も見かけなかった。トモエがサンドイッチの最後の欠片を口に入れたところで、少しフラフラした足取りでトワノがダイニングキッチンに入って来た。
「おはよう、トモエちゃん」
疲れ切った声でそう言ったトワノは冷蔵庫を開けてエナジードリンクの缶を取り出し、缶から直に飲み始めた。トモエが心配そうな口調で言った。
「トワノちゃん、大丈夫? 目の下、クマが出来てるよ」
トワノは一気にエナジードリンクを飲み干して答えた。
「いや、徹夜だったから、ちょっとね」
「昨夜のスマホのデータ解析で? 大変だね」
「ま、これがあたしの役目だから。他のおねえさまたちと違って、あたしは戦闘要員じゃないんだ。機械いじりの腕を買われてホワイト・リズムに入れてもらったの。格闘とかはトモエちゃんと同じで全くの素人」
「そうなんだ。それで何か分かった?」
「ある程度はね。後で全員、地下のアジトに集まる事になると思うよ。これからひと眠りするよ」
疲れ切った様子でトワノが出て行った後、トモエはキッチンの冷蔵庫の中をのぞいて見た。中は缶やペットボトルだらけで食材と言える物は何もなかった。
戸棚を片っ端から開けて見ると、カップ麺だらけだった。思い出してみると、ホワイト・リズムのメンバー全員がそろって食事をしているのを見た事がなかったし、トモエ自身も仕事を覚えるのに忙しくて、ここに来て以来、食事は全て一人でコンビニ飯と外食で済ませてきた事に気づいた。トモエは腕組みをしてつぶやいた。
「ここの人たち、どういう食生活してんの?」
夕方全員が事務所に戻って来るとすぐにヒミコが地下の旧万世橋駅跡の中の基地に集まるよう命じた。畳敷きのスペースに全員が車座になって座ると、ヒミコがトワノに言った。
「トワノ、解析で分かった事を報告してや」
トワノがノートパソコンを開いて説明し始めた。
「あのアサミという女の人、闇バイトに応募してた形跡がありますね。SNSで十代二十代限定の、簡単な仕事で高額報酬って求人に応募した履歴が残ってました。そこからテレグラムに誘導されてます」
トモエがおずおずと手を上げて言った。
「テレグラムって何?」
トワノが答えた。
「スマホのアプリ。SNSみたいな物なんだけど、仲間内だけでするチャットの内容が一定の時間経つと自動的に消去されるってちょっと特殊な物だね」
ヒミコが口をはさんだ。
「闇バイトの指示やらでよく使われとる、秘匿性の高いアプリというやつのひとつや。それでトワノ、テレグラム内でのやり取りは分かったんか?」
トワノは頭をかきながら答えた。
「さすがにそこまでは……アメリカのFBIやCIAなら出来るかもしれませんけど」
ヒミコが腕組みして言った。
「その最初のSNSの勧誘先は分かるか?」
トワノが答える。
「アカウントは変えたようですけど、IPアドレスは同じなんで今も同じ勧誘してるユーザーは特定できました。未だに十代二十代の女性限定で似た様な勧誘を載せてます」
「ふうん……」
ヒミコはしばらく考え込み、突然イオンとトモエを指差して言った。
「あんたたち二人、その闇バイトに応募しよし」
イオンはあっさりうなずいたが、トモエは飛び上がらんばかりに驚いて大声を出した。
「あ、あたしが、ですか?」
コメント
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読みました…ああ、もう。 トモエちゃんが「ここの人たち、どういう食生活してんの?」って気づくところ、すごく胸に来た。みんな戦うのに必死で、生活をちゃんとする余裕すらないんだなって。トワノちゃんの徹夜明けのクマも、エナジードリンク一気飲みも痛いくらいリアルで。 で、最後のヒミコの指示。「あたしがですか?」ってトモエちゃんが驚くの、すごく分かるよ。でもイオンが即答したのも、彼女のキャラが出てたな。 闇バイトに潜入なんて…展開が気になりすぎる。次が待ち遠しいよ