雨が降る夜。
貴方は死んでしまった
昔から、リストカットが多かった彼氏。
而も浮気性の屑だった。…顔だけは良いんだけどね。
然して、その顔の良さから女はわんさか寄ってくる。それを彼氏は単純作業の様に、デートして、性行為をして、ぱっと捨てる。
そんな屑。
私は遂に嫌になって、彼氏に言ったんだ。
「別れてよ」
と。
彼氏の絶望した顔は今でも忘れない。
嫌々が続いて諦めたが、その日からリストカットを始めたんだ。
最初は怪我したのかな、と思ったのだが、包帯を巻き始めた頃から彼氏に問いだした。
「ねぇ、__。…手首、何があったの」
「んぅ?何?大した事ちゃうぞ、…見たい?」
「…うん」
彼氏は包帯をするすると解いた。
…そこには、原型が無い程ぐちゃぐちゃな傷跡があった
「…なん、で…ここまで、切ったの?」
「いやなぁ…?__が「別れてよ」とか言うから、怖くなったんよ」
またヘラっと笑ってる。
私は何とか辞めるように言って、辞めて貰った。
次の日、彼氏とのデート。
スカイツリーに登ると、街や家が小さく見えた。生憎、私達の家は遠かったが為に見えなかった。
…次の瞬間、ガラスの割れる音と、真っ赤な液体が飛び散った。
私は即座に隣を見た。そうすると、彼氏が…
…彼氏が、ガラスで…殴られていたんだ。
きっと、遊ばれた逆恨みだろう。恨みと殺気と妬みが篭った目で女性は彼氏を見た。
「なんでッ…ねぇ、なんで__君は私を捨てたの!?そんな女より私の方が魅力的じゃん!!可笑しいでしょ!!この屑!!クソ野郎!!」
「…あ”~、煩い煩い」
彼氏は馬乗りになって乗っていた女性を押して立ち上がり、頭から流れる血を触った
「大体、ブスやから振ったし…あ、何?またヤればええんか?それで満足やろ?どーせ、ブッッサイクでクソ女に寄る男は居らへんもんなぁ!?」
「~~~ッ!!最低!!屑!!!」
「ええよ、それで。…じゃあなブス女ァ」
彼氏は恐ろしい笑みを浮かべた後、私の手を取って飛び降りた。
……飛び降りた!?
「はっゑッちょま…」
「…心中しよーや、なぁ?」
其の儘、意識は途絶え…暖かい物が私を包み込んだ。
…何故、生きて居たのだろう。
心中、なんて言って。自分だけ重傷で生きている。
可笑しいじゃないか、あの高さから落ちたのに。彼女は原型が無く、只々赤黒い液体が彼女を包み込んでいた。
___その日は、雨が降っていた
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